巧妙化する中国漁船の乱獲行為 世界15カ国で現地国旗掲げ操業

 中国が自国の漁船を南米、アフリカ、太平洋、中東など全世界の国々の現地企業名義で虚偽登録する手法で現地当局の監視を避け、主な漁場で乱獲に及んでいることが分かった。大規模船団を組んだ中国漁船の違法操業に対し、各国が大規模な軍事力を動員して取り締まりに乗り出したことから、国際社会の耳目を避けるためにそうした「小細工」をしていると分析されている。

【写真】逃げる違法操業中国漁船

 中国漁船の違法操業活動を追跡してきた米非営利メディア団体「アウトロー・オーシャン・プロジェクト」(本部ワシントン)は4日、中国企業が南米、アフリカ、中東、南太平洋など15カ国で中国漁船249隻を現地企業に所属しているかのように登録した上で操業していることと明らかにした。本紙が同団体から入手した中国漁船の名前と所属企業、識別番号などを分析した結果、問題の漁船はアルゼンチン、ガーナ、セネガル、イラン、ロシアなどの国旗を掲げて操業しているが、実際の所有者は全て中国企業だった。現地企業の名義を使っているものの、株式の過半数を保有したり、現地人に漁船を貸し、収益は持っていくといった手口を使っていた。こうした手法は多くの国々で外国籍船舶の操業、外国人船主の登録を禁止する規定を回避する脱法・不法行為とされている。

 アウトロー・オーシャン・プロジェクトは「中国企業が現地法人として登記後、外国の国旗を掲げて活動するいわゆる『フラッギングイン(flagging-in)』方式で世界各地の操業で支配権を急速に拡張している」と指摘した。中国はこれまで他国の水域に侵犯し、大規模な乱獲に及んだ末に逃げ去るという違法操業を行ってきたが、現地当局の取り締まりを回避するために、さらに巧妙な手法を用いている格好だ。中国の遠洋漁船は現在3000隻を超えると推定される。その10%に近い漁船(249隻)がフラッギングイン方式で摘発を避けていることになる。

 中国がそうした「小細工」を通じ、最も活発に進出した国は南米アルゼンチンだった。中国漁船65隻がアルゼンチンの国旗を掲げて漁業をしており、同国のイカ漁船全体の90%に占める。アウトロー・オーシャン・プロジェクトが現地メディアが報じた約10人の船員名簿を分析した結果、アルゼンチン海域で操業する漁船では労働者の4分の1以上が中国国籍であることが分かった。事実上、中国漁船がアルゼンチンのイカ漁場を独占している形だ。それ以外にガーナ(70隻)、セネガル(13隻)などアフリカ諸国、ミクロネシア(16隻)など太平洋諸国、イラン(11隻)など中東地域にも中国漁船が進出し、それぞれの国旗を掲げて海洋資源を乱獲している。

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