インターン枠もカネで買う中国の青年たち、詐欺被害相次ぐ

 こうした状況で有料インターンは就活生の必須コースとして位置づけられている。競争を勝ち抜くためにはインターンのような実務経験が求められるが、有料インターンは最も簡単にそうした条件を満たすことができる手段だからだ。あるメディアは「名門大学を卒業していなくても、インターンで履歴書を補完すれば、名門大学卒業生並みの職に就けるという認識が広がっている」と分析した。

 問題は有料インターンの副作用を無視できないことだ。まず、就職市場の不平等が広がる可能性がある。最低でも数千元、多い場合は数万元に達する金額を就活生が直接負担することは現実的に難しい。結局、両親の支援が必要となるが、経済的に厳しい家庭の就活生は競争から弾き出されてしまう。中華網は「就職市場の公正性を阻害し、経済的能力が弱い学生が競争で不利になり、社会的資源の不平等な分配が深刻化する恐れがある」と指摘した。

 有料インターンが法的には認められていない制度である点も不安要因だ。中国教育部はインターンの過程で手数料を請求できないと明確に規定している。しかし、制度を悪用する仲介業者もかなり存在する。経済メディアの新浪財経は就活生Yさんのケースを集中報道した。Yさんは仲介業者を通じ、公式推薦書と就職前教育、インターン証明書の受領などワンストップサービスを1万6100元で予約。うち40%に相当する6440元を先払いした。その後、仲介業者は実際かかる費用は2万3170元だと説明を変えた。Yさんは払い戻しを要求したが、1カ月が過ぎても金銭を返してもらえなかったという。

 価格をつり上げるケースのほか、当初約束した企業とは全く異なる企業のインターンを紹介してくるケースも多いという。これに関連し、中国IT大手騰訊(テンセント)と証券最大手の中信証券(CITICセキュリティーズ)、大手会計事務所などは「有料インターンは受け入れていない」「インターン詐欺に注意を」などと公式に警告している。 中華網は「一部の仲介業者は誇大広告を行っているほか、ひどいケースでは詐欺まで働いている」「学生の就職熱を利用し、不法に金銭を稼ぐために不道徳な業者と協力している」と指摘した。

 中国国内では大学生や就活生を対象とするインターン制度の確立が必要だという認識が広がっている。21世紀経済報道は「中国ではまだインターンの慣習がまだ完全にはシステム化されていないため、有料インターン産業が登場した」と指摘した。これに関連し、7月18日に閉幕した中国共産党の第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)では、学生のインターン実習システムの改善についても話し合われた。

北京=イ・ユンジョン特派員

【写真】「背中を見て」 履歴書記載Tシャツを着て街を歩く中国の青年たち

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