■中国はJ20を年間100機のペースで増強
嘉手納基地に新たに配備するF15EXは、ステルス戦闘機ではありませんが、従来のF15とは完全に異なると評価されている最新鋭の機種です。先端レーダーや赤外線探知装置などを積み、搭載兵器の量は13.4トンで、並みの爆撃機よりも多いといいます。F35がまず出動して敵国のレーダー基地などを破壊し、標的の情報を送ったら、F15EXが遠距離からミサイルでたたく-という形で、対になって運用され得るでしょう。嘉手納基地には、このほかにも米本土やハワイから来るF22とF35戦闘機がローテーション配備されています。
米国が在日米軍にF35を大量投入するのは、中国の空軍力増加に対応するためだといいます。中国はJ20ステルス戦闘機を開発し、既に300機近く配備したといいます。毎年100機ずつ増やして、2030年代には1000機まで確保するという計画です。最近では台湾の対岸に位置する福建省・武夷山空軍基地の主力機を大挙J20に入れ替えるということもやりました。加えて、空母艦載用の殲35(J35)も開発し、試作機を運用中です。
J20はステルス性能、機動力などの側面で米国のF22やF35には及ばない、というのが専門家らの一般的な評価です。反面、一定水準のステルス性能を備えていて、高性能レーダーや赤外線探知装置、衛星通信装置などを搭載し、米国の制空権にかなりの脅威になるだろうという分析もあります。
■台湾侵攻に備えた主力機入れ替え
太平洋空軍(PACAF)の司令官を務めたケネス・ウィルズバック航空戦闘軍団(ACC)司令官は2022年、あるシンポジウムで「東シナ海で、われわれのF35戦闘機が近くからJ20を見守る機会が多かったが、懸念すべきレベルではなかった」としつつ「J20に対する中国の指揮・統制は相対的に印象的だった」と語りました。
在日米軍からF35配備を本格化するのは、中国の台湾侵攻や南シナ海紛争に備えるためという側面も大きいといえます。F35は優れたステルス機能を基に、有事の際は中国のレーダー網を突破して侵入し、中国軍の指揮部や空軍基地、ロケット軍基地などに致命的な打撃を与えることができます。ネットワーク機能に優れ、F15EX・無人機などと連携して中国内部の目標を合同攻撃することも可能だといいます。台湾侵攻を夢見る中国軍としては、乗り越え難い障壁だと言えます。
米国ハドソン研究所の村野将研究員は、日経新聞のインタビューで「F35は第5世代戦闘機で、優れたネットワーキング能力とステルス性能を持っている」とし「FA18のような第4世代戦闘機は、いくら性能を改善しても追い付けない機種」と語りました。さらに村野研究員は「F35が中国の新型戦闘機に対抗し、空対空対決に投入されることもあり得る。中国から発射される対艦弾道ミサイルや巡航ミサイルを迎撃する上でも活用される可能性がある」としました。
崔有植(チェ・ユシク)記者