在韓米軍の存在意義を一貫しておとしめるトランプの発言を聞いていると、1950年に韓国を米国の防衛線から排除した「アチソン・ライン」を想起させる。韓半島を金日成(キム・イルソン)の同族殺害南侵へと導いたアチソン・ラインの含意は簡単だ。米国の立場からは、韓半島を捨てても、日本が太平洋の防波堤のように踏ん張っているから大して心配ではなかったのだ。
トランプは、在日米軍の防衛費分担金が少ないと不平を言いつつも、在韓米軍に対してのようにはっきりと撤収に言及したことはない。彼は2019年5月、現在の天皇が即位してから1カ月もたたないころに国賓として招待され、日本の懇切な「おもてなし」を満喫した。「宝物のような米日同盟」と語るほどに日本を信頼している。トランプは、再選時に北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と再会することを既定事実化している。この過程で、彼が在韓米軍の撤収または削減を交渉テーブルに載せ、アチソン・ラインに似た「トランプ・ライン」を推進する可能性がないと言えるだろうか。
7月13日、銃弾が右耳を貫通する状況においても、右手を振り上げて「戦おう」とパフォーマンスをするトランプを見てぞっとした。「ストロングマン」が事実上再選される可能性が急上昇した瞬間、この先誰も彼を止めることはできないだろう、という考えが頭をよぎった。ヘンリー・キッシンジャーは「トランプは歴史上、一つの時代が終焉(しゅうえん)を告げるときに登場し、その時代の虚飾を剥いでいく人物と言える」と語った。トランプ第2期の韓国の活路についての大戦略(Grand Strategy)を真剣に考えねばならないときがいよいよ迫ってきた。
李河遠(イ・ハウォン)外交担当エディター