1950年のアチソン・ライン、2025年のトランプ・ライン【朝鮮日報コラム】

危機を克服してさらに強くなる米国のストロングマン
「一つの時代が終わるときに登場する人物」
最近の「韓国重視」発言に安心せず、防衛線を変える可能性にも備えるべき

 2017年11月に韓国を訪れた米国トランプ大統領(当時)の最初の行事は、平沢米軍基地「キャンプ・ハンフリーズ」訪問だった。ここは、海外の米軍基地の中では最も規模が大きい。在韓米軍司令部と陸軍第2歩兵師団をはじめ、在韓米軍の家族など4万人が居住する超大型複合基地だ。中国・山東省威海市から400キロしか離れていない。誰であろうと、ここを見れば、北朝鮮はもちろん中国のけん制にも有利な要地だと分かる。当時、米国政府の関係者らは、在韓米軍について否定的な考えを持つトランプ大統領がハンフリーズを視察したら考えを変えるだろう―と期待した。

【グラフィック】韓半島有事の際に支援を行う七つの国連司後方基地(在日米軍基地)

 結果的に、その判断は間違っていた。在韓米軍を軽視する彼の考えは少しも変わらなかった。トランプ政権最後の国防長官を務めたマーク・エスパーは、回顧録『A Sacred Oath(聖なる誓い)』で、在韓米軍関連のエピソードを詳細に書き残した。トランプが在韓米軍撤収をしつこく主張すると、ポンペオ国務長官が「(1期目はほかの仕事で忙しいので)在韓米軍の撤収は2期目の優先事項にしましょう」と言い、トランプは「そうだな、2期目」と答えた-というエピソードも記録されている。

 そのため最近、トランプ再選を準備している米国ファースト政策研究所(AFPI)関係者らが来韓した際には、関連の質問が集中した。ホワイトハウスの国家安全保障担当大統領補佐官への起用の可能性がささやかれているフレッド・フライツ(Fred Fleitz)AFPI副所長は「トランプが当選した場合、在韓米軍撤収や削減はないだろう」と安心させた。中国の習近平主席の3連任独裁、ロシアのウクライナ侵攻、北朝鮮の継続的な挑発で状況は変わった、というのだ。韓国政府の張虎鎮(チャン・ホジン)国家安保室長も「懸念する必要はない」と語った。

 果たしてそうだろうか。トランプの自由主義国際秩序無視、在韓米軍に対する否定的な考えには一貫性があり、彼のブレーンの発言は信じ難いという評価が多い。トランプが在韓米軍に対する立場を表明したのは1990年にまでさかのぼる。34年前の「プレイボーイ」誌のインタビューで、在韓米軍は「不当な待遇を受けている」とし、なぜ韓国にいるのかと発言した。最近では、5月に時事週刊誌「タイム」のインタビューで「危険な場所に(在韓)米軍がいる。話にならない。韓国は金持ち国だ。なぜわれわれが誰かを守らなければならないのか」と語った。こうしたトランプの長年の考えが、防衛費をいくらか引き上げるからといって変わるかどうか疑問だ。

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