米法務省は当時からすでに韓国政府に対して警告を行っていた。ある外交筋が18日に明かした内容によると、米法務省は2021年に韓国政府、そしてシンクタンクなどへの支援を行う韓国外交部(省に相当)国際交流財団(KF)に書簡を送り「韓国政府のために活動するには、外国代理人として登録する必要がある」と警告したという。テリー氏がワシントンのあるシンクタンクでKFから資金援助を受けながら「KF韓国局長」を務めていた時点でのことだ。
KFは当時「KFは独立した機関であり、FARAが適用されない文化、学術交流を行っている」として異議を提起した。しかし米法務省は「KF理事長が『公共外交』や『地域の平和増進』などについて語ったことを把握している」としてFARAの適用対象であると反論した。文在寅政権はKFを外国の代理人として登録していなかった。
KFが警告を受けていた事実は2022年5月の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足後も明確には伝えられなかったようだ。国家情報院で「徐薫ライン」とされる担当者も交代しなかった。この担当者は22年6月、米国務長官主催の非公開会議が終了すると同時に、出席者の一人だったテリー氏を外交官の公用車に乗せメモを撮影した。テリー氏が所属していたシンクタンクには22年5月と23年4月の2回、駐米韓国大使館名義で資金援助も行われていた。外国政府がシンクタンクに資金援助を行い、イベントへの協力を要請することはワシントンでよく行われる「外交活動」だ。
2023年3月にテリー氏は尹錫悦政権の外交部から連絡と資料を受け取り、ワシントン・ポストに「韓国は日本との和解に向け勇敢な行動を取った」という趣旨のコラムを執筆した。テリー氏が外交部担当者に「コラムが気に入ってくれたらうれしい」とメールを送ると、この担当者は「(駐米)大使や(韓国大統領室)国家安保室長は非常に喜んでいる」と返信した。23年4月にテリー氏は韓国外交部から依頼を受け、韓米同盟関連のイベントも開催した。韓国外交部の担当者は「当時のテリー氏をはじめとするワシントンの識者の主流派は以前から韓日関係改善には前向きで、専門家への寄稿依頼もよくあること」と説明した。
一方米国務省で韓半島政策担当のトップを務めていたチョン・パク副次官補が今月5日に突然辞任したが、これについても今回の捜査との関係性を指摘する見方が浮上している。米検察当局の起訴状にはテリー氏について「韓国関連の業務を担当する国務省幹部と親密な関係を維持していると語った」との記載があるが、この点はチョン・パク元副次官補を巡る動向とも一致する。
金真明(キム・ジンミョン)記者