韓国情報機関「終戦宣言実現目指した文政権時代の無理な対米外交が原因」

スミ・テリー氏起訴の背後に何が

 米外交協会(CFR)のスミ・テリー研究員が米検察当局に起訴されたことを受け、韓国大統領室は18日「文在寅(ムン・ジェイン)前政権に対する監察が必要となる事案」とコメントした。スミ・テリー氏は米連邦政府に報告しない状態で韓国政府のために活動したとして米検察当局に起訴された。韓国大統領室のある幹部は同日「(国家情報院の担当者が)カメラで撮影された失態など、全てが文在寅前政権で起こったことだ」「専門的な知識やノウハウを持つ担当者を全て排除し、アマチュアばかり使うからこんな問題が表面化した」とコメントした。

【Photo】マンハッタンの高級レストランで韓国情報機関の幹部2人と食事をしているスー・ミ・テリー研究員

 文在寅政権は2019-21年、6・25戦争の「終戦宣言」を実現させるため無理な対米外交を展開したが、今回の起訴や当時の状況に詳しい複数の人物の話を総合すると、この文在寅政権の動きが今の問題につながったと考えられる。19年1月に徐薫(ソ・フン)国家情報院長(当時)がワシントンを訪問した際、テリー氏は韓国の国家情報院の要請を受け米国防総省幹部らと接触し、徐薫院長と非公開の話し合いの場を設けたが、この事実を米検察当局は問題視した。ベトナムのハノイで開催された2回目の米朝首脳会談を1カ月後に控えた当時、文在寅政権は終戦宣言の実現に向け総力を傾けていた。この場に出席した米情報当局の元幹部は米連邦捜査局(FBI)に対し「この話し合いの場はあまりに非常識だった。シンクタンクの関係者から招待され、外国の情報機関トップ(徐薫院長)に会うなど前例が思い付かない」と供述したという。

 テリー氏は文在寅政権の政策に決して賛同はしていなかった。2019年2月にテリー氏は新聞のコラムで「終戦宣言が実現すれば、平壌と北京が国連軍司令部の解体、そして最終的に在韓米軍撤収を要求する口実になりかねない」と警告していた。それでもテリー氏と国家情報院とのやりとりは続いた。国家情報院の当時の担当者は19年11月、テリー氏にブランド品のコートとハンドバッグを買い与え、さらにこの担当者の後任も21年4月にテリー氏にブランドバッグを提供した。

 当時は文前大統領と大学後輩の米国在住韓国人を中心に、米国議会に対して終戦宣言ロビー活動も行われていた。韓国の共に民主党議員らと米国議会の議員らを顔合わせさせたこの在米韓国人は、2021年に民主平和統一諮問会議の米州副議長に就任した。この頃からすでに韓人社会では「米国籍者が韓国政府機関所属の立場で韓米政界の橋渡しをすれば、『外国代理人登録法(FARA)』に抵触する恐れがある」などの懸念が浮上していた。トランプ政権陣営の「ロシア・スキャンダル」を巡る特別検事の事案後、米法務省はFARA関連の捜査に力を入れていた。

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  • ▲グラフィック=梁仁星(ヤン・インソン)
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