「ドラマ見て死刑なんてありえない、暴動が起きればいいのに」…脱北女子大生らが明かした北の韓ドラ視聴の実態とは 脱北者の日

MZ世代の脱北者「『韓国ドラマ視聴』バレたら賄賂、10年前は30ドルだったが今は高騰」

 14日は「第1回北朝鮮離脱住民の日」だった。韓国統一部(省に相当)によると、昨年末の時点で韓国に定住している脱北者は計3万4078人だという。韓国政府ではこのうち、特にMZ世代(1980年代前半から2010年代にかけて生まれた世代)の脱北者に注目している。韓国政府関係者は「北朝鮮のMZ世代は国からの配給ではなく、自力で生きてきた『チャンマダン(市場)世代』だ。取り締まりをかいくぐって韓国の映像を見て、韓国の言葉遣いをまねる若者世代が金正恩(キム・ジョンウン)体制に亀裂を入れるきっかけになる素地がある」と述べた。

【グラフィック】脱北者の韓国入国時の年齢や年度別の脱北者入国数

 本紙は2022年に欧州留学中に一緒に脱北した平壌出身の20代女性3人と会い、北朝鮮での生活や脱北理由などについて聞いた。今年、韓国の大学に入学したチョン・ユミさん(24)とシン・ジウンさん(23)、大学入学を目指しているハン・ジミンさん(24)とのインタビューは先日、ソウル・光化門で行われた。3人は平壌に家族が残っているため仮名を使い、顔写真の公開は希望しなかった。

-平壌にいた時、韓国ドラマはどれくらい人気でしたか?

 「外に音が聞こえたらいけないので、布団をかぶってイヤホンをして見た。この世の中で一番幸せなことだった。『紳士の品格』というドラマが一番面白かったが、『見てはいけない』と言われているものをこっそり見ていたので、この上なく幸せだった」(ハンさん)

 「学校に行くと、みんな韓国の映画やドラマを見たという話ばかりしていた。バレるかバレないかの違いだけで、ほとんどが見ていた。キム・ジュエ(金正恩総書記の娘)も見たはずだ」(シンさん)

-初めての韓国ドラマはどのようにして見たのですか?

 「10歳の時、友達の家に遊びに行ったら、友達のお姉さんがドラマを見ていた。最初は韓国ドラマだとは知らなかった。中国語の字幕が出ていて、音はとても小さくしていたけれども、『コマウォヨ(ありがとう)』(北朝鮮では『~ヨ』という文末表現を使わない)、『ケンチャナ(大丈夫)』(北朝鮮では『イルオプタ』)という言葉が聞こえた。確かに我が国の言葉のようなのに、一度も聞いたことのない話し方だったのでビックリした」(チョンさん)

 「私が高校生になるまで、母は『(娘が)韓国語の話し方をまねるのではないか』と心配して音は聞こえないようにして、画面だけを見ていた。私が高校1年生の時に韓国ドラマ『ドリームハイ』を初めて見たが、歌ったり踊ったりするシーンが多くて本当に楽しかったし、面白かった。それ以降の韓国ドラマはほとんど全部見た」(ハンさん)

-(北朝鮮の国営放送局)朝鮮中央テレビや(朝鮮労働党機関紙)労働新聞は見なかったのですか?

 「つまらないから見なかった。ほとんどの人は見ない。そこで話していることは全部ウソだということもみんな知っている」(チョンさん)

-金正恩氏は韓国語の言葉遣いの使用を禁止する法律まで作りましたが…。

 「『アンニョン(こんにちは・さようなら)』(韓国式のあいさつ)もダメだし、『ケンチャナ』もダメだって。『韓国語の話し方をまねるな』と言われたら、私たちは使える言葉がない。髪を染めることもできないし、服装もハーフパンツはダメだし、話し方も『ああしろ、こうしろ』。韓国に来てみると、そのような制約がないのですごくいい」(シンさん)

 「ドラマを見たからと言って人を殺すなんて話にならない。暴動が起きればいいと思う。一言間違えたらその翌日には消されてしまうからみんな怖くて話せないだけで、誰かがきっかけさえ作ってくれれば…」(チョンさん)

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