死亡者を除いた49人のうち4人は他の施設に移動し、7人は家族と共に暮らしていることが分かった。残りの38人はソウル市支援住宅で「自立」していた。ところが、このうちコミュニケーションが可能なのは9人だけだった。ほかの9人は頭の動きや「はい」「いいえ」程度の言葉しかできず、20人はコミュニケーションが全く不可能だった。にもかかわらず、16人の退所同意書は、障害者本人が自筆署名したか、印鑑を押したことになっていた。一部の障害者は住民センターに印鑑登録し、印鑑証明を発給したことになっていた。
ソウル市は昨年7月、こうした調査結果の一部を公開し、6人がすでに死亡していたことと生存している障害者の退所書類が疑わしいということについては公開しなかった。調査結果を入手した権益委は、死亡した障害者が施設に引き続き入所していれば、24時間ケアを受けることができるため、死亡に至らなかった可能性もあるとみている。また「発達障害者の施設退所決定が専門医の判断や所見なしに盲目的に行われている」と指摘した。各発達障害者に24時間ケアが必要なのか、自立した生活が可能なのかを専門医が判断する手続きが無視されているというわけだ。さらに権益委は「発達障害者は障害者支援住宅への申請や契約書の作成ができる状態ではないが、支援住宅に入居している」とし、誰かが住宅契約のために障害者の印鑑を代理で登録している可能性も指摘した。
権益委は、障害者の支援住宅を運営する事業者が障害者活動の支援機関を合わせて運営することで「障害者の供給機関」となっていると批判した。施設に居住していた障害者を退所させ、支援住宅に「誘致」することで、これら障害者を対象とするケア事業まで受注。政府予算を得ることができるといった構造だ。
権益委は10日、国会でこうした分析結果を公開し、脱施設政策および発達障害者のケアと関連した制度改善を関係部署に勧告する案を検討した。
キム・ギョンピル記者