1日で1500億ウォン増える赤字、韓国国民年金はどう持ちこたえるのか【コラム】

 ボールは改選後の国会にあるが、国会はまだ年金特別委員会の設置もできていない。政府・与党は「国民年金の枠組み自体を変更する構造改革も同時に進めなければならない」との立場だ。国民年金と基礎年金、各種特殊職域年金を統合するなどの構造改革は1~2年で解決できる問題ではないというのが専門家の意見だ。野党は「年金改革は政府が主導すべき問題だ。我々が懇願する問題ではない」というムードだ。このため、さらに時間を無駄にする可能性が高い。

 国民の負担を増やそうという年金改革は人気のない政策に違いない。フランスのマクロン大統領は、2022年に再選に成功すると、定年を62歳から64歳に延長し、年金を100%受け取るための保険料納付期間を、従来の42年から43年に延ばす年金改革をわずか1年未満の期間で断行した。その過程で激しい批判に直面したことが、マクロン大統領の不人気の主な原因の一つとして挙げられる。

 尹錫悦大統領も年金改革が「票」にならない政策であることを熟知している。政権発足当初、周囲の参謀がそうした懸念を伝えると、「大統領は再選できるわけでもなく、こうしたことをまともに取り組まないならば、いったいなぜ大統領をやるのか」と語ったという。尹大統領のそんな気持ちは変わってしまったのだろうか。医療改革、労働改革で見せた強い推進意志が年金改革では全く見えない。どうせ根気強く改革を推し進めようと決心したのならば、国家と国民のために今何が最も重要で、何が現実的にできるのか考えるべきだ。「与小野大」の国会では、したくてもできないことが多い。手遅れになる前に野党も同意した年金改革のアクセルペダルを踏まなければならない。

辛殷珍(シン・ウンジン)社会政策部長

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  • ▲ソウル市西大門区の国民年金公団ソウル北部地域本部/ニュース1

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