19の米国内軍事基地の近隣で怪しい農地買収相次ぐ…「中国が偽装諜報基地を構築」米紙報じる

民間企業などを前面に出しつつ…JSOC・第18空挺(くうてい)軍団など戦略拠点周辺の農地を買収

■民間企業を装っているが…

 外国人が米国内に所有する農地のうち、中国が占める割合は高くはありません。1位はカナダで、外国人が米国内に所有する農地全体の31%を占めます。オランダとイタリア、英国、ドイツなどがこれに続くといいます。中国は、外国人が米国内に所有する農地全体のうち0.3%を有し、国別では18位だといいます。問題は、中国資本の所有農地が多数、米軍基地周辺に存在するということです。

 農地の所有企業にも釈然としない部分があります。新疆ウイグル自治区の中国人実業家スン・グァンシンは2015年、空軍パイロットを養成する第47飛行訓練航空団がいるラフリン空軍基地に近いテキサス州バルベルデ郡の14万エーカー(約567平方キロ)の農地を購入しました。彼は山東省出身で、中国軍将校の経歴がある人物です。新疆で飲食業や不動産開発業で成功した彼が、なぜ突然、米国テキサス州の農地を購入して風力発電所を作ると言い出したのか、疑問でした。結局、テキサス州議会は、国家安全保障を理由にこのプロジェクトを禁止する法案を作りました。

 2022年に米国ノースダコタ州のグランド・フォークス空軍基地近くの土地を買い入れ、農産物加工工場を作ろうとしていた阜豊集団(山東省)もまた、疑念を持たれました。グランド・フォークス空軍基地は、米空軍の戦略無人偵察機RQ4グローバル・ホークを運用する第319偵察航空団がいるところです。阜豊集団所有の敷地は、同基地から20キロほど離れています。

■中国人の土地買収を制限する立法

 昨年9月には、ウォールストリート・ジャーナル紙が「観光客などを装った中国人が米国内部の軍事基地に接近して写真を撮るなどの事例は100件を超える」と報じました。米軍部隊の警備状況などを調べるための、一種の探索戦だというのが防諜専門家らの分析です。

 米国法の不備を利用した中国の米国内諜報基地構築作戦は、失敗に終わりそうな雰囲気です。テキサス州、フロリダ州など数十州の州議会が、中国企業のこうした土地買収を制限する法律を制定したり、あるいは制定を検討中だったりします。今年5月には、ワイオミング州のフランシス・ワーレン空軍基地からわずか1.6キロしか離れていないところに中国の暗号資産マイニング業者がやって来たことから、バイデン大統領が土地の売却と装備の撤去に関する行政命令を発したこともありました。

 ワーレン空軍基地は、米国の3大戦略核ミサイル基地の一つで、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を運用する第90ミサイル航空団がいます。

崔有植(チェ・ユシク)記者

【グラフィック】米国内の軍事基地と中国の農場

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