朝鮮王朝時代には発酵させて生物兵器化…北の汚物風船に見る「人糞攻撃」の歴史(上)

■精神的打撃にも効果的

 近現代の都市は、糞便を処理しつつ発達してきた。産業化以降進められた都市化の課題の一つがまさに、人間が毎日排出する糞便を処理することだったからだ。浄化槽が開発され、汚水処理施設が広まったことで、都市は汚物による臭気や汚染から抜け出せるようになったが、現代社会でも人糞攻撃は依然として有功だ。身体的打撃ではなく精神的打撃を加えるからだ。

 「クソでも食らえ、この野郎!」。1966年9月22日、韓国国会で人糞がぶちまけられた。対政府質問をしていた無所属の金斗漢(キム・ドゥハン)議員が、サッカリンの容器に詰めた人糞を閣僚席に浴びせたのだ。金議員は「先烈の魂がこもったパゴダ公園(タプコル公園)から持ってきた」と言った。サムスングループの系列会社である韓国肥料が「建設資材」と偽ってサッカリンの原料を密輸入していた事実が発覚し、世論が沸騰していた時期だった。当時、本紙の記事は「(丁一権〈チョン・イルグォン〉首相などは)汚物の洗礼を受けて洋服がずぶ濡れになった」と書いた。先烈の魂がこもったと言っても、クソはクソ。この事件で金斗漢議員は西大門刑務所に収監されたが、内閣総辞職などの波紋が続いた。

 2016年、ベルギー・ブリュッセルの爆弾テロ容疑者のバッグからは、腐った動物の生殖器や大便が詰まった袋が発見された。英国メディア「デーリー・メール」は「食料供給網に毒をまいたり致命的な疾病を誘発したりする物質として使用され得る」と報じた。

 催涙弾・放水に対抗する方法にもなる。2017年、ベネズエラ経済危機をもたらしたニコラス・マドゥロ大統領の退陣を要求していた反政府デモ隊は「ポポトフ(poopootov)」という生物化学兵器で治安部隊に対抗した。人糞と水を混ぜた「うんこカクテル」だった。これを詰めた瓶には「愛を込めて」と記されていた。愛情を込めて投てきした人間の糞便が、装甲車をどろどろに汚し、武装した警察にばらまかれた。ベネズエラのマリエリス・ベルティズ司法監察官(Marieliz Valdéz, Inspectora General de Tribunales)が、これを「生物化学兵器」と規定するほどだった。実際は生物化学兵器というより、人糞を浴びた治安部隊の隊員たちは精神的打撃の方が大きかったのだが。

韓国国会で人糞がぶちまけられた「事件」を報じた新聞記事(1966年)

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