民主党は既に、公営放送の取締役陣を自分たちの意のままに任命し、社長の交代もできないようにする放送3法を国会常任委で一方的に処理した。自分たちが政権を取ったときは、この法案の内容とは全く逆に、公営放送の社長らを暴力的な方法で追い出した。ところが再び野党になるや「言論改革」だとして押し付けている。
民主党は、李代表の捜査検事3人など検事4人に対する弾劾訴追案も党論として発議した。朴庠勇(パク・サンヨン)検事はサンバンウル対北送金事件、姜白信(カン・ベクシン)・厳熙竣(オム・ヒジュン)検事は大庄洞・ペクヒョン洞事件を捜査した人物だ。民主党は先月、検察が違法対北送金事件で李・前代表を追加起訴すると、直ちに検事弾劾を推進した。李・前代表の捜査を妨害し、裁判に影響を及ぼすためのものだと言うほかない。
民主党は、これらの検事が13年前に韓明淑(ハン・ミョンスク)元首相の違法政治資金授受事件の裁判時に在監者を呼んで違法な陳述を強要し、金万培(キム・マンベ)氏と申鶴林(シン・ハクリム)氏の大統領選挙介入世論操作事件で違法に捜索・押収を行った-と主張した。だが韓・元首相は懲役2年の確定判決を受け、金万培・申鶴林両氏は最近身柄を拘束された。無理な弾劾だということを民主党自身分かっているだろう。
民主党は尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足後、11回も弾劾案を発議した。弾劾訴追前に辞任した放通委員長まで合わせると13回だ。このうち、自主撤回した2件を含め9件が検事を狙ったものだ。アン・ドンワン検事弾劾案は憲裁で棄却され、孫準晟(ソン・ジュンソン)・李禎燮(イ・ジョンソプ)検事弾劾案は憲裁で係争中だ。民主党は、検事弾劾案が憲裁で棄却されても損はしないという計算なのだろう。憲裁の審判中は当該検事の業務が停止し、追加捜査や裁判に支障が生じることは避けられない。
その上、民主党は、当該検事を国会法制司法委に呼んで違法行為を調査すると言っている。法制司法委の証言台に立たせて被疑者のように追及し、侮辱するつもりなのだ。それでも足りぬと、対北送金事件を捜査した検察を捜査する特別検察官を推進している。被疑者が捜査官を捕まえようというのだ。民主党指導部は「判事選出制」にまで言及している。検事弾劾に続いて司法府にまで圧力を加えているのだ。
これら全ては、結局のところ李在明・前代表の大統領選出馬のためのものだ。徹底して政略的だということを意味する。国家紊乱(びんらん)とは、憲法の基本秩序を乱す行為を指す。今の民主党の行いは、国家紊乱と呼んでも過言とは言えない。