韓国の進歩(革新)系最大野党「共に民主党」が、金洪一(キム・ホンイル)放送通信委員長弾劾訴追案に続いて、李在明(イ・ジェミョン)代表の事件を担当してきた検事などに対しても弾劾訴追案を発議した。政府高官や検事などに対してこのように同時多発的に弾劾を推進した例はなかった。放送通信委員会(放通委)をまひさせ、李代表の捜査を妨害しようとする狙いがあるとみられる。民主党の度を越した弾劾攻勢に、韓国の国政は揺らぎ、法的な捜査に支障まで来すことになった。
【Photo】これといった違法もないのに…就任6カ月で辞任した金洪一放送通信委員長
金洪一委員長は2日、民主党の弾劾攻勢に押されてついに辞職した。前任者の李東官(イ・ドングァン)委員長に続いて2人目だ。憲法裁判所の弾劾審判の結果が出るまで数カ月間にわたり放通委の業務がまひすることを防ぐため、これといった違法もない人物が、就任からわずか6カ月ほどで退かなければならなかった。
民主党の放通委員長弾劾攻勢は、これまで民主党寄りの放送を行ってきたMBC放送を自分たちの側に引き留めておくためのものだ。放通委が、8-9月に任期の満了するMBC・KBSなど公営放送関連の取締役陣の選任計画を議決すると、民主党はこれを妨げるために金委員長を告発し、弾劾訴追案を発議したのだ。法律上は弾劾の対象ではない副委員長も共に告発することで、弾劾できると主張した。
民主党は昨年末にも、同じ理由で李東官・前委員長を弾劾しようとした。李・前委員長は就任から100日もたたずして、具体的な違法もないのに辞職しなければならなかった。これにより放送再許可業務がまひし、MBC・KBSなど34の放送局が1カ月間無免許状態で放送するという事態になった。民主党は、国会の役目である放通委員(3人)推薦・票決も拒否し、「委員長・副委員長2人運営体制」を招いた。すると「2人体制」は違法だと主張した。放通委が公営放送の取締役陣を変えられないように「植物委員会」にしてしまおうとしたのだ。
後任の放通委員長は、大統領が指名したら国会人事聴聞会を経て7月末か8月初めに就任することになると思われる。だがMBC社長交代を阻止するため総力戦を展開している民主党は、新委員長に対しても、どんな理由を付けてでも弾劾を推進する可能性が高い。こうなれば、1年にもならない期間で放通委員長3人に対し弾劾を推進することになる。到底、正常とは言えない。