ベトナム産を締め出してマレーシア産を受け入れ…東南アジアを翻弄する中国の「ドリアン覇権」

中国、マレーシア産の生ドリアンの輸入を全面的に許可
ベトナム産は「重金属検出」と理由をつけて輸入停止
巨大な市場を外交カードとして使用

 一方、ほぼ同じ時期に中国は、ベトナムの農場18カ所と流通企業15社、合わせて33の供給ラインからのドリアン輸入を停止した。表向きの理由は、ベトナム産のドリアンから過剰な量の重金属が検出されたというものだ。ベトナムは昨年だけで20億ドル相当のドリアンを中国に輸出した。これは中国に輸出する農産物全体(115億ドル)の18%に相当する。今年1-4月にも4億3200万ドル相当を中国に輸出し、前年同期比で170%近く増加した。そのため中国による輸入停止措置はベトナムの農家にとって大きな打撃となっている。

 中国がベトナム産ドリアンの輸入を停止した本当の理由は明らかになっていない。ただし、強大国に抱き込まれずに実用を強調するベトナムの「竹の外交(柔軟でありながらも強い竹の性質になぞらえた外交姿勢)」が中国の機嫌を損ねた可能性はある。ベトナムは数年にわたり、米中対立の中で中国をけん制できる域内パートナーとして米国が重視している相手だ。昨年9月にはバイデン米大統領が自らベトナムを訪問し、両国関係が「包括的戦略パートナーシップ」に格上げされた。今月に入ってからはロシアのプーチン大統領がベトナムを訪れた。

 中国が相手国に警告を与える際に食糧輸入を武器にするのは珍しいことではない。2012年に南シナ海の領有権紛争が原因でフィリピンとの関係が悪化した際には、害虫問題を理由にフィリピン産バナナの輸入を禁止した。中国からの独立を主張する台湾政府寄りであることから、中国は何かにつけて台湾産パイナップル、マンゴー、タチウオやアジなど魚類の輸入停止・再開を繰り返している。フルブライト大学ベトナム校のウエン・タン・チュン教授は「(ベトナムの)ドリアン販売者たちは、中国が貿易を制裁手段として使う可能性があるということを知っている」と指摘した。

北京=イ・ユンジョン特派員

【Photo】北京のスーパーで販売されているドリアン

前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲イラスト=UTOIMAGE
  • ベトナム産を締め出してマレーシア産を受け入れ…東南アジアを翻弄する中国の「ドリアン覇権」

right

あわせて読みたい