北朝鮮の公式の場で金正恩(キム・ジョンウン)総書記が単独で描かれた肖像記章と呼ばれるバッジの胸に着用されている様子が初めて確認された。北朝鮮の労働新聞は6月30日、前日開催された朝鮮労働党中央委員会全員会議の2日目の様子を伝える記事で、党、政府、軍の幹部らの写真を掲載したが、彼らは全員が金正恩バッジを着用していた。この写真は北朝鮮の対外メディアである朝鮮中央通信でも公開された。
これまで北朝鮮の幹部や住民は金日成(キム・イルソン)主席や金正日(キム・ジョンイル)総書記の肖像が共にあしらわれたバッジを胸に着用していた。金正恩総書記単独の記章は金正日総書記死後の2012年に制作されたことが伝えられたが、実際に着用される様子を撮影した写真は今回初めて確認された。金正恩総書記の偶像化に拍車がかかっているようだ。
金正恩総書記は今年40歳だ。金正日バッジは1992年の50歳の誕生日に制作されたが、それと比較すると金正恩総書記の場合は10年早い。金日成バッジは金日成主席が58歳となった1970年の執権25周年に初めて登場した。そのため金正恩総書記の偶像化は先代に比べて迅速に進められているようだ。
金正恩単独バッジについて北朝鮮情勢に詳しい専門家は「先代を継承した後継者としてではなく、独裁者である金正恩時代への転換を強調するためだ」との見方を示した。北朝鮮メディアは今年の金日成主席の誕生日を公式名称である太陽節ではなく「4・15」「4月名節」と表現した。北朝鮮は金日成主席死去から3年後となる1997年から金日成主席が生まれた4月15日を「太陽節」と定め、民族最大の名節として記念してきた。