文在寅前大統領の娘ダヘ氏家族、タイ移住時に政府系機関職員を私的に動員か【独自】

 翌月の同年5月、中小ベンチャー企業振興公団バンコクセンター長のA氏は本社の海外組織を管理する部署から電話とメッセージャーアプリで指示を受けた。「処長の知人がバンコクに行こうとしているが、そちらの不動産を調べてほしい」という内容だった。A氏は「当時本社担当者に『不動産仲介業者に処長の知人の連絡先を教えたい』と言ったが、本人もその人物が誰なのか、連絡先も知らずにおり、不動産の情報だけを伝えた」とし、「仲介業者のB氏が後日、『家を下見していった』と言っていただけで、直接バンコクで(ダヘ氏と)連絡を取ったり会ったりしたことはない」と話した。

 その後、6~7月にS氏が先に出国し、続いてダヘ氏が旧基洞のビラを売却後、息子を連れてタイに出国した。

 S氏の採用も密かに進められた。 タイイースタージェットのパク・ソクホ代表(当時)でさえ、S氏が誰なのか知らずに採用したと話している。パク代表は最近、本紙と会い、「2018年7月ごろ、李相稷元議員とバンコクで会うことにしたが、私が体調不良で会えなかった。事務室に出勤すると、李元議員がS氏の履歴書を置いていき、『就職させてほしい』と指示したと聞いた」と話した。その上で、「(李元議員から)ソ氏の月給を800万ウォンにしてもらいたいという指示も受けた」と語った。

 パク代表は「最初は李元議員の娘の配偶者になる人物だと思っていた。李元議員に近い側近もS氏が誰なのか知らなかったはずだ」とし、「それほど密かに進められた」と証言した。その上で「S氏がすでにバンコクに入っているというので連絡して会ったが、誰の助けを受けたのか、既に家探しを終えており、とても豪華な自宅を確保していたので、少し安いところに移るように勧めた」とも語った。しかし検察はパク代表が当初からS氏の存在を知っていた可能性も排除していない。

 パク代表はまた、「S氏に(航空関連の)経歴が一つもなくて戸惑った。大統領の娘婿であることも知らずに『天下り』だと言い、ひどくいじめた」とし、「航空の仕事を少し学ばせようと、夜に空港に送り、勤務させたりもした」と振り返った。S氏は実際、親会社であるイースター航空との業務協力など比較的単純な業務を担当したという。S氏は2020年初めまでタイにおり、韓国に一時戻ったが、コロナで航空路の運航が途絶えたため、業務が中断されたという。

 パク代表は「2019年初めごろ、メディア報道などでS氏が大統領の娘婿だという事実が明らかになると、李元議員から連絡が来て、『パク代表が自分でうまくやれ』と言われた」と述べたほか、「S氏の妻は一度散歩するのを見ただけだ」と話した。S氏は2018年7月から2020年4月までタイイースタージェットから月給800万ウォンと約300万ウォンの家賃支援を受け取っていた。ダヘ氏の家族が韓国を一時帰国する際には、イースター航空便を無料で利用していたことも分かった。

 検察は李元議員が中小ベンチャー企業振興公団理事長に任命される過程で、青瓦台関係者が不当に介入したかどうかを集中的に調べている。最近も理事長の公募および任命当時、中小ベンチャー企業振興公団内の人事業務を担当していた室長と実務担当者ら3人を呼んで事情聴取した。同じ時期に青瓦台人事首席秘書官だった趙顕玉(チョ・ヒョンオク)氏については、被疑者として取り調べることにした。

パン・グクリョル記者

【グラフィック】ダヘ氏家族への利益供与疑惑

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