「士官学校に志願した私が愚かだった」「脱出は知能順」 韓国軍、昨年だけで幹部9481人が除隊

前年より24%増えて過去最多
大尉・中士級の中間幹部が43%

 事実上、最低賃金(時給9860ウォン=約1120円)より低い月給をもらっている幹部らは、文在寅政権時代を経て月給が125万ウォン(約14万3000円、兵長基準)まで上がった兵士にも劣る待遇を受けている、と口をそろえる。衣食住を国が保障する兵士と違い、幹部は食費、住居費などを全て自分の財布から支払わなければならないからだ。

 陸軍の前方部隊で服務しているチェ中尉(28)は、こうした劣悪な待遇の問題で長期服務志願を放棄した。チェ中尉は「平日の当直費2万ウォン、週末の当直費4万ウォン(約4560円)もらって夜通し当直した後、休息も保障されない」とし「警察・消防は平日5万ウォン(約5700円)、週末10万ウォン(約1万1400円)もらって2日も休んでる。全く同じように国のために働いているのに、剝奪感を抱く」と語った。

 チェ中尉は、軍当局が打ち出す初級幹部住居支援対策の効果を現場で全く体感できない、と語った。昨年結婚したチェ中尉は、軍の官舎を探そうとしたが、待機者があまりにも多かった。軍から家賃のための融資を受けて新居を探そうとしたが、部隊長が許可しなかった。「初級幹部は無条件に軍官舎で統制されなければならない」というスタイルの上官らのマインドに失望したという。チェ中尉は除隊後、鉄鋼やアパレルの企業に応募することを考えている。

 陸軍士官学校(陸士)出身のパク大尉(33)も、除隊を決心した。パク大尉は「陸士を出れば少なくとも大領(大佐に相当)までは昇進が保障されるが、結婚もできず、住居環境もめちゃくちゃなのに、階級章を着けて何になるのか」と語った。未婚者のパク大尉は数年にわたり結婚を試みたが、うまくいかなかった。女性たちはいとも簡単に勤務地が移る職業軍人のパク大尉を「下層民」扱いした。ある陸士の先輩の妻は、仕事を辞めてへき地で夫と共に暮らしているうちにうつ病になり、自殺したという。

 パク大尉は「こんなことなら、単にお金も適当にもらって生活も楽な兵士として兵役を果たせばよかった」とし「国と民族のために献身したいと、士官学校に志願した私が愚かだった」と語った。

 ここ数年、新型コロナや不正給食問題などを経る中で、営内の「兵士の人権」を強調する声は強まった。そんな中、兵士たちと年代が近い20代・30代の初級幹部の業務負担が急増した。一線中隊長が兵士の親から「かわいそうなうちの子が薬を飲んだかどうか写真を撮って確認してほしい」というような要求を受けることが日常化した軍隊になったからだ。

 陸士出身のキム大尉(29)は「部隊管理が重要だとしつつ人を消耗品扱いし、退勤後や週末にもひっきりなしに命令を下す上官たちにうんざりした」とし「陸士のエースたちが軍を離れている」と語った。陸士の同期の間では「脱出は知能順」という声もあるという。キム大尉は「昨年、ある師団で勤務していた後輩が自殺し、数週間前には同期が自ら命を絶った」と明かした。

コ・ユチャン記者、チャン・ユン記者、チェ・ナクウォン記者

【グラフ】5年目以上の韓国軍幹部の除隊現況

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