被疑者にうそをつく権利をいつまで与え続けなければならないのか【朝鮮日報コラム】

 処罰の方法が全くないわけではない。間接的ではあるが、刑法上「偽計による公務執行妨害」として処罰することはできる。しかし、有罪と認められるケースはまれだ。大半の場合、裁判所は捜査で明らかにできる程度の虚偽供述は処罰できないとする立場を取っているためだ。虚偽の供述があっても、それは捜査機関が十分に捜査できなかった結果にすぎず、捜査機関をだました行為だけで罪を問うことは難しいという趣旨だ。しかし、虚偽の供述を行えば、捜査機関は不必要な証拠調査や関係者に対する出頭要請を行わなければならず、罪のない人が処罰される可能性も出てくる。捜査や裁判の遅延を招くこともある。それは国家の司法機能に対する妨害ではなかろうか。それにもかかわらず、裁判所が虚偽供述に寛大すぎるため、ほぼ処罰が難しい。

 刑事司法の重要な価値は、適法な手続きによる被疑者の人権保障と実体となる真実の発見だ。どちらも捨てることが価値だ。米国は被疑者の人権は保障するものの、事件の実体を明らかにするのに必要な制度的仕組みも設けている。虚偽供述罪もその一つだ。そういうバランスが必要となるが、韓国はこれまで明らかに被疑者の人権にだけ重点を置いてきた面がある。

 韓国も虚偽供述罪の導入を検討する時期が来たと考える。自白を強制しようというわけではない。被疑者は不利ならば供述を拒否すればいい。少なくとも積極的なうそはつけないようにしようと意味だ。供述拒否と虚偽供述は全く別問題だ。 検察がそれを武器に起訴権を乱用する恐れがあるなら、それを防ぐ装置を設ければよい。適用対象を賄賂など権力型犯罪、殺人、麻薬、テロなど重大犯罪に制限することもできるだろう。虚偽供述罪はこれまで学界でも議論されてきた内容だ。これからは議論を本格化してほしい。狡猾な犯罪者たちが法の網をくぐり抜けようと、うそを防御手段として悪用する状況をいつまで見過ごすことはできないではないか。

崔源奎(チェ・ウォンギュ)論説委員

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