被疑者にうそをつく権利をいつまで与え続けなければならないのか【朝鮮日報コラム】

 歌手キム・ホジュン容疑者の飲酒ひき逃げ事件を見ていて、容疑者や参考人にうそをつく権利をいつまで与え続けなければならないのかという疑問が改めて浮かんだ。韓国の法律は法廷で証人がつくうそは偽証罪で処罰するが、捜査機関でつくうそには処罰規定がない。多くが防御権の意味合いで容認される。容疑者であれ参考人であれ同じだ。今は一般の人々もそれを知っている。それでキム容疑者と所属事務所も事故発生から10日間、公然と飲酒の事実を否認したのだろう。

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 そのうそを覆い隠そうと、キム容疑者と所属事務所は、運転者のすり替え、口裏合わせ、組織的証拠隠滅を行った。うそがさらに大きなうそを生み、犯罪にまでつながった。所属事務所の代表と社員はそれで逮捕され、キム容疑者も危険運転致傷、逃走致傷などの疑いで逮捕された。司法システムに対する翻弄の始まりはうそだったが、その段階では何の処罰も受けなかった。

 米国は異なる。虚偽供述罪の規定があり、捜査機関でついたうそも処罰できる。米連邦最高裁も1998年、容疑者にはうそをつく権利がないことを明確にした。労組幹部が「会社から現金や贈り物を受け取ったか」という取り調べ時の質問に「いいえ」と答えたことが虚偽供述罪に当たるとした。消極的な犯行の否認も虚偽供述罪と見なしたのだ。米国の憲法が保障する供述拒否権(黙否権)は、不利な陳述を拒否して沈黙する権利を与えただけであって、口を開いたならば真実を話さなければならない。 

 韓国の憲法が保障する供述拒否権の趣旨も米国と変わらない。ところが、虚偽の供述を処罰する規定がないため、誰もがうそをつく。うそが幅を利かせれば、力があり、カネがあり、狡猾(こうかつ)な犯罪者が法の網をくぐり抜ける可能性が高くなり、犯罪被害者は救済を受けることが難しくなる。それは正義とは言えないのではないか。

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