韓国製よりも1億ウォン安価…韓国首都圏を走るEVバスの過半は中国製

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 韓国環境部が過去3年間、無公害車の拡大に向けて補助金を支給した首都圏広域電気バスのうち、半分以上が中国製であることが分かった。生産コストが低く、販売価格が安い中国製電気バスが韓国政府の補助金による恩恵まで受けて市場を掌握している格好だ。

【グラフィック】韓国首都圏を走る中国製EVバス 導入台数の推移

 国民の力の林利子(イム・イジャ)国会議員が環境部から提出を受けた資料によると、2021年から23年までの3年間、首都圏(ソウル市・仁川市・京畿道)で新たに登録された広域電気バス4448台のうち2503台(56.2%)が輸入車で全て中国製だった。国産は1945台(43.8%)だった。

 地域別では京畿道が1845台の中国製電気バスを導入した。京畿道では21年に284台、22年に533台、昨年は1028台が導入され、導入台数は毎年前年の約2倍に増えた。京畿道は同じ期間に国産電気バスを1262台導入した。ソウル市は中国製を上回る国産電気バスを導入した。ソウル市は3年間で中国製516台、国産614台を登録した。仁川市は同じ期間に中国製142台、国産69台を導入した。

 各自治体は老朽化したバスを更新する際、低床バスの導入を義務付け、環境に優しい電気低床バスの導入を増やしている。とりわけ中国製電気バスが増えるのは価格が安いためだ。リン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーを使用する中国製電気バスはニッケル・コバルト・マンガン(NCM)を素材とする三元系バッテリーを採用した国産電気バスより価格が約1億ウォン(約1150万円)安い。LFPバッテリーは価格が安いが、リサイクルが困難で、バッテリーの寿命が到来すると、ほとんどが廃棄される。一方、NCMバッテリーは高価な原料を回収できるため、リサイクル性が高いが、製品自体の価格も高い。リサイクルを考えると、NCMバッテリーが環境に優しいが、無公害車を増やさなければならない自治体にとっては、割安な中国製バスを購入せざるを得ない構造となっている。

 中国製電気バスの拡大には、環境部が自治体を通じて支給する補助金も影響を与えた。環境部は2021年から23年にかけ、首都圏に電気バス補助金として2857億ウォンを支給したが、うち1454億ウォン(50.9%)が中国製電気バスの購入に充てられた。環境部が中国製電気バスの価格競争力をさらに高めたという指摘も出ている。韓国政府は特定国の製品を補助金で差別するのは貿易ルール上難しいとの立場だ。

 電気バスには別の選択肢もある。素材・部品のほとんどが国産の水素バスだが、普及は進んでいない。環境部は無公害広域バスの拡大計画で、2030年までに全国に水素バスを2万1200台導入すると発表したが、昨年11月現在の普及台数は582台にとどまっている。水素自動車に燃料を補給する液化水素充填スタンドが整備されていないからだ。自治体が国産水素バスを導入したくても、電気バスに目を向けるしかない理由がそこにある。

 こうした背景から、自治体が電気自動車補助金を水素自動車補助金に転換するケースも出ている。昨年末、全州市議会の予算決算特別委員会は、中国製電気バスの補助金を全額削減し、それを水素バス補助金に充てることを決めた。環境部も今後はバッテリーリサイクルを念頭に置き、リサイクル価値が高いバッテリーを搭載した電気バスに多めの補助金を支給する方針だ。韓和鎮(ハン・ファジン)環境部長官は「より環境に優しい車が価格競争力を得られるように補助金制度を見直す。水素バス向け充填スタンドの拡充も急ぎたい」と話した。

パク・サンヒョン記者

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