20代の英国人女性が「笑気ガス」の中毒になり死亡していたことが分かった。
19日(現地時間)、ザ・サンなど外信によると、エレン・マルサーさん(24)は毎日笑気ガスを2、3本ずつ吸入していたという。結局、エレン・マルサーさんは笑気ガス中毒で歩けなくなり、昨年2月に血栓のため死亡した。当時、エレン・マルサーさんの死因は明らかにされなかったが、調査の結果、笑気ガス中毒が原因であることが確認された。エレン・マルサーさんの母親は「エレンは笑気ガスがどれほど危険なのか知らなかった」とした上で「このガスの危険性を皆知っておかなければならない」と話した。エレン・マルサーさんの母親は「違法ではないからと言って、無条件安全なわけではない」とした上で「絶対に、むやみに笑気ガスを使用してはならない」と主張した。
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笑気ガスは亜酸化窒素を称する表現で、吸入すると笑いが出て、体がふわりと浮くような感じがすることから、「ハッピーバルーン」とも言われる。亜酸化窒素は韓国を含め、さまざまな国で吸入麻酔薬として使用している。幻覚作用がある医療用ガスで、医療従事者だけが医療行為をするとき独占的に使用することができる。
亜酸化窒素を誤用・乱用すると死亡する恐れがある。わたしたちの体には二酸化炭素が一定量以上あってこそ、呼吸機能が促進される。ところが、亜酸化窒素を吸入して体内の亜酸化窒素濃度が高くなると、二酸化炭素の濃度が下がり、呼吸機能が低下することになる。酸素を吸い込むことができず、低酸素症を誘発し、致命的な脳損傷を引き起こす恐れがある。低酸素症は、最初はめまいや運動失調などの症状が見られるが、脳などを含め神経や脊髄の損傷につながり、昏睡状態に至る。ひどい場合は死亡につながる。病院でも亜酸化窒素を使用した後は、低酸素症を防ぐために100%酸素を注入し、体内の酸素濃度を高める。
ほかにも、亜酸化窒素の誤用・乱用はビタミンB12の欠乏につながる恐れがある。ビタミンB12はDNA合成過程に必須の栄養素を補充し、健康的な赤血球を生産するのに必要だ。ビタミンB12が不足すると、DNA損傷のほか、血をつくり出す造血機能に問題が生じかねない。神経損傷の危険性もある。実際に2020年、「Journal of the Korean Neurological Association」には亜酸化窒素の乱用によって脊髄神経障害が生じた23歳の男性の事例が報告された。
現在、韓国で亜酸化窒素の所持と販売は違法だ。2017年、京畿道水原市で20代の男性が亜酸化窒素を過剰吸入して死亡し、同年8月に亜酸化窒素が幻覚物質に指定された。昨年12月、京畿道南楊州市では、ある男性がマンションの駐車場で亜酸化窒素を吸入して逮捕された。亜酸化窒素を処方箋なしに吸入などの目的で所持したり販売したりすると、3年以下の懲役または5000万ウォン(約573万円)以下の罰金刑が科される。