尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は4年5カ月ぶりに再開された第9回韓中日首脳会談前日の26日、ソウル市竜山区の韓国大統領室で、中国の李強首相と先に二国間会談を行った。韓中の二国間会談は、昨年9月にインドネシアで開催されたASEAN+3(東南アジア諸国連合加盟国+韓中日)首脳会談以来、8カ月ぶりだ。しかも、中国の首相が2015年当時の李克強首相以来9年ぶりに来韓したことで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行や米中覇権争いの影響で行き詰まっていた韓中関係回復のきっかけになるのでは、という見方もある。
韓国大統領室は同日、尹大統領と李首相の会談で「韓中2+2外交・安保対話」を新設することにしたと明らかにした。韓国大統領室は特に、韓中外交・安保対話を中国側が先に提案してきた点に注目している。韓中両国はこれまで幅広い経済交流をしてきたが、安保の面では協力よりも緊張関係が続いていた。韓国政府関係者は「これまでは国際安保問題が両国経済交流の足を引っ張ってきたケースが多かった。終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備による限韓令(韓流禁止令)が代表的な事例だ」と言った。このような状況で、中国側が次官(外交)・局長(国防)級2+2外交・安保対話を提案してきたのは、安保問題でも本格的な対話に乗り出すという意味だと解釈できるということだ。両国は外交次官の戦略対話など他の外交・安保チャンネルも再開することにした。高麗大学の南成旭(ナム・ソンウク)教授は「米国の中国に対する全方位的な圧力が強まり、韓日米が接近していることから、中国は韓国との外交に積極的に乗り出そうと判断したようだ」と語った。
尹大統領と李首相が同日、韓中自由貿易協定(FTA)の第2段階協議を再開することにしたのも、肯定的なサインだと評価されている。2015年12月に韓中FTAが発効して以来、両国は主に商品市場の開放を進展させてきた。第2段階協議では文化・観光・法律などサービス分野についてもFTAが拡大する見込みだ。中国側は「韓国と長春国際協力モデル区の建設を推進する計画だ」と述べた。これを通じて製造業、エネルギー、人工知能(AI)、バイオ、メディカル分野などで両国の協力が強化されるものと中国側も期待している。