毒針ペンに自殺用リップスティック…北朝鮮スパイの道具、米国で初の展示【独自】

米ワシントンDCの国際スパイ博物館

脱北者へのインタビューがきっかけ、国家情報院が協力

毒針や毒ペンなど7点を新たに展示し大きな話題に

■通信機器の短波ラジオやコード表など

 北朝鮮スパイは本国と効果的に遠距離通信する際には日本のパナソニック製短波ラジオRF-B65を使った。また北朝鮮の乱数放送を解釈する「コード表」も展示されている。例えば「86093」という数字は「暗殺」を意味する。北朝鮮兵士が夜の非武装地帯(DMZ)で使った赤外線カメラ、北朝鮮暗殺犯が作戦中に本国と通信する際に使った古いトランスミッター(送信機)も展示されている。

 この博物館で北朝鮮スパイ関連の展示が始まったのは昨年7月。博物館学芸員のアンドリュー・ハモンド博士による脱北者キム・ヒョンウ氏への公開インタビューがきっかけだった。キム・ヒョンウ氏は元北朝鮮情報機関所属で、脱北後の2015年から韓国のあるシンクタンクに勤務している。キム・ヒョンウ氏の波乱万丈の脱北過程と韓国に定着するまでのエピソードを聞こうと、平日の夕方にもかかわらずインタビューには数百人の聴衆が集まった。これを見た国際スパイ博物館は韓国の情報機関である国家情報院に協力を求め、北朝鮮関連の展示を世界で初めて行うことになった。

■「北朝鮮は孤立した権威主義国家」「最も抑圧された国」

 博物館は今回の展示について「今も続く韓半島分断、北朝鮮の核とミサイルの暴走などに関心を持つ機会になれば」と語る。マネージャーのブラン氏は「多くの人が情報活動の歴史、そして今世界で起こっている出来事をしっかり理解してほしい」「これが博物館の教育的使命だ」と述べた。

 博物館は展示案内で「共産主義の北朝鮮は1950-53年に韓国戦争を起こし韓半島統一を目指したが、失敗した」と説明し、韓半島分断が北朝鮮の南侵から始まった事実を明確にしている。また北朝鮮に関する案内には「48年から今も金氏一家に統治されている孤立した権威主義国家で、世界で最も抑圧された国」「党の方針から外れるとか、政権にとって脅威になると判断されれば、ひどい場合は命を失うこともある」などの説明もある。

ワシントン=金隠仲(キム・ウンジュン)特派員

【写真】毒針ペン・自殺用リップ・通信用機器…米国の博物館に展示された北朝鮮工作員の道具

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