急変する新冷戦の国際秩序の中で、全方位安保協力強化と対外軍事活動拡大を追求してきた日本のこうした動きは、韓国が見せてきた対外行動とは対照的だ。その時期、韓国は南北関係と北朝鮮の核問題にのめり込み、自ら国際的立場を委縮させ、国際社会の大勢とは懸け離れた「井戸の中のかわず」となることを選択し、北朝鮮と中国を意識して中立的あいまいさを維持しようと骨折ってきた。対米防衛費分担金も、日本は1996年からほぼ全額を負担してきたのに対し、韓国は分担率50%を超えないように心を砕いてきた。米中対決が始まって以来、インド・太平洋地域の各所にクモの巣のごとく安全保障協力ネットワークが形成されたが、その中に韓国の姿を見いだすのは難しい。一応存在はしている韓米日安全保障協力も、中国の顔色をうかがっているせいで、多分に外交的修辞のレベルにとどまっている。
こうしていたら、やがて米日を主軸としてオーストラリア・ニュージーランド・カナダなどが参加することになるアジア・太平洋広域安全保障協力体の形成から、韓国だけが疎外されるのではないかと心配になる。このところ「韓半島天動説」という自嘲的なフレーズが韓国国内の一部で流行している。中世の人々は、宇宙が地球を中心に回る「天動説」を信じていたが、韓国人はいまだに宇宙が韓半島を中心に回る幻想の中で生きている-という意味だ。国際社会で忘れられていく北朝鮮の核問題を地上最大の安全保障上の懸案だと考え、それよりもさらに重要な南シナ海・台湾・ウクライナ問題には徹底して無関心な韓国人の自国中心主義、それは彼らが非難するドナルド・トランプの自国中心主義とどれほど違うのだろうか。
李容濬(イ・ヨンジュン)世宗研究所理事長・元韓国外交部(省に相当)北核大使