しかし、LINEが日本のモバイルインフラで市場支配力を拡大すると、日本国内では経済安全保障の見地からデータ主権とデジタルインフラに対するコントロールを強化すべきだという声もますます高まった。自国民の個人情報と貴重なデータを韓国側が無料で利用したり悪用したりする恐れがあるにもかかわらず、それをなぜ放置するのかという指摘だ。欧州連合(EU)が域内のデータを守るため、最大の友好国である米国のビッグテック企業に対する強硬な規制法案を打ち出したのも同じ理由からだ。さらに日本の右翼は「対日強硬派だった文在寅(ムン・ジェイン)政権の広報首席秘書官が元ネイバー副社長出身だ」とまで批判した。さらに、2021年以降、LINEヤフーで個人情報流出などさまざまなセキュリティー事故が相次いだことで、そうした主張がさらに強まった。インターネット専門家は「もし日本企業がカカオトークのシステム運営を引き受け、セキュリティー事故が起きたとすれば、韓国ではさらに大きな騒動になっただろう。アリ、TEMUなど中国の電子商取引(EC)のユーザーが急増し、韓国国民のデータが中国に持ち出されていることも気になる」と話した。
今回のLINE問題は、LINEヤフーの資本関係を見直すよう求める日本政府の粗雑な官治がきっかけだったが、今回の事案は根本的に韓国側が何が何でも勝たなければならないサッカー韓日戦とは次元が異なる。21世紀の原油と呼ばれるデータの所有・統制権、ネイバーの今後のビジネス戦略、韓日米によるデータ共有問題など数多くの要素について、冷静に得失を計算しなければならない。ネイバーはこれを機に事業の拡張性に限界があるLINEを売却し、人工知能(AI)検索やクラウド分野に集中投資することが得策かもしれない。ビジネスに裏切りはない。選択があるだけだ
趙亨来(チョ・ヒョンレ)編集局副局長