■中国に約束した「THAAD3不」は朴槿恵政権の立場?
文在寅政権は、2017年に中国側に「THAAD(高高度防衛ミサイル)の追加配備をしない」「米国のMD(ミサイル防衛)システムに参加しない」「韓米日3カ国軍事同盟を結ばない」という「3不」の約束をしたという疑惑を持たれてきた。これに関連して文・前大統領は回顧録で「朴槿恵(パク・クンヘ)政権はTHAADの追加配備はないという立場を明らかにした。米国のミサイル防衛システムに入らないということと韓米日3カ国同盟をしないというのは、金大中(キム・デジュン)政権時代から今まで続いてきている韓国政府の一貫した立場」だとした。また「(これが)朴槿恵政権の3不の立場になったのだ。われわれの政権はその立場を引き継いだ」とし、「3不の約束」の責任を朴槿恵政権に転嫁した。
だが、元職・現職の外交部当局者らは「韓国政府が内部でどのような判断をしているかということと、これを外交交渉の過程で中国に『確認』ないし『約束』してやることとは、完全に意味が違う」と指摘する。回顧録で文・前大統領も「(中国に)韓国政府の従来の三つの立場を再度確認してやった」と記した。文在寅政権時代の2019年12月4日に国防部が作成し、長官に報告した「環境影響評価 評価協議会構成時期関連協議結果についての報告」という文書には「韓中間の既存の約束:3不合意。2017年10月」という表現があった。
■統一相「ヒトラーを信用して第2次世界大戦」
文・前大統領が非核化会談決裂の責任を北朝鮮ではなく米国に押し付けたことに対する批判も続いている。金暎浩(キム・ヨンホ)統一相は20日の記者懇談会で、文・前大統領の回顧録について「北朝鮮は核とミサイルを開発して韓国を脅かしかねない能力を持っている」「それなのに、その能力を無視したまま北朝鮮の意図にのみ焦点を合わせるとしたら、それは情勢判断を誤る結果をもたらしかねない」と語った。金統一相は「1938年のミュンヘン会談当時、英国のネビル・チェンバレン首相は(ドイツの領土をこれ以上拡大しないという)ヒトラーの言葉を完全に信頼した」「その結果として、翌年に第2次世界大戦が起きた」と指摘した。
金真明(キム・ジンミョン)記者、ワシントン=金隠仲(キム・ウンジュン)特派員