文在寅・前大統領、回顧録で「金正恩委員長は非核化に本気だった」…交渉決裂の責任を米国に押し付ける

■「電子メール連絡」提案は守られず

 18年4月の板門店南北会談前、双方は首脳間の直通電話設置に合意した。しかし、このホットラインは一度も稼働したことがない。これについて文・前大統領は、18年5月の第2次板門店会談の際、金正恩総書記に「あの電話を稼働させようと促した」と明かした。これに対し金正恩総書記は「ほとんど地方を回っているので(執務室に)いないときが多い」とし「確実にセキュリティーが守られる電子メールでやればいいだろう」と答えたという。そこで「首脳同士は電子メールで連絡することで互いに合意」したが、北朝鮮側のセキュリティーシステム構築作業が遅延し続け、結局実現しなかった。

■「日本は韓国のG8追加に拒否感」

 文在寅・前大統領は、日本政府を批判することにもかなりのページを割いた。文・前大統領は、日本の輸出規制を批判しつつ「日本は、本当に心の狭い姿を見せた。残念で、不快だった」「一方では、日本は本当に度量のない国になっていっているなと思った」と述べた。文・前大統領は、在任中にG7(先進7カ国)会議へ出席した際のエピソードに言及しつつ「日本がアジア・太平洋地域を代表する役割を果たせないという感覚をはっきりと受けた」と記した。その上で、トランプ大統領もまたこうした問題意識に共感し、韓国がG7拡張メンバーになるべきだと言ったとして「日本にはひとまず言わないでくれと頼んだ」とし「英国がG7会議へ韓国を招請することに日本が反対したという話を、英国側の人物から聞いた」とつづった。安倍晋三・元首相についても「会っている間は良い顔をしてソフトなことを言うが、戻ると全く進展がなかった」と語った。

 文・前大統領は、金正淑(キム・ジョンスク)夫人の「ピラミッド観光問題」については「エジプトが(ピラミッドを)アピールしようとして、私に行ってほしいと要請したが、到底時間がないので、妻に行ってみるように言った」と主張した。さらに文・前大統領は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)現大統領の金建希(キム・ゴンヒ)夫人のことを意識し「配偶者外交が必要だと思う」としつつ「今の大統領夫人問題のせいで『家庭で内助だけしているべき』というような形になるのは本当に残念なこと」と記した。

金真明(キム・ジンミョン)記者、チュ・ヒヨン記者

【写真】19年に板門店で会談した文在寅大統領とトランプ米大統領と金正恩国務委員長(肩書は当時)

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