一方、レアアースの需要は低迷しました。中国はゼロコロナ終了後も景気回復が遅く、昨年の製造業景気は全体的に低調でした。物価が下がり続け、デフレの懸念まで指摘されるほどでした。
米国、日本、オーストラリアが独自のサプライチェーンを構築したことも、中国メーカーに大きな打撃を与えました。中国のレアアース埋蔵量は2023年末時点で4400万トンで、全世界の約40%を占めています。しかし、ベトナム(2200万トン)、ブラジル(2100万トン)なども埋蔵量が豊富です。オーストラリア(570万トン)、米国(180万トン)の埋蔵量も少なくありません。それでもこれまで中国の発言力が大きかったのは、進んだレアアース精錬技術で埋蔵量を上回る精製レアアースを国際市場に供給してきたからです。
レアアースは「珍しい土壌物質」という意味ですが、実際には地表面にも大量が存在するとされます。ただ、あまりに含有量が少ないため、抽出は容易ではありません。抽出時に有毒化学物質を使用するため、土壌と地下水が汚染され、放射性物質が排出される問題もあります。そのため、米国は世界第2位のレアアース生産国でありながら、自国の精錬施設を廃止し、レアアースを全量中国に送って精製してきました。
■中国のレアアース覇権に打撃も
レアアース分野で中国の脅威が強まると、米国はサプライチェーン再編を急ぎました。政府補助金を支給し、米国内のレアアース精製工場を再稼働し、独自に精錬を始めました。オーストラリアも日本、ベトナムと協力し、独自のレアアースサプライチェーンを構築しました。
北方稀土は今年初めの開示資料で、「米国とオーストラリア、ラオス、ミャンマー、アフリカ地域を中心に独自のレアアース供給網が形成されている」とし、「中国のレアアース産業の地位と影響力に打撃を与えるだろう」と指摘しました。日経アジアも「ライバル国がサプライチェーンの構築を急いだ上に、中国の国内景気も不振で、中国のレアアース企業の売上高減少と純損失が大きかった」と報じました。
中国のレアアース業界は依然として競争力があり、生産量と埋蔵量も圧倒的です。ただ、好きなときにレアアース供給中断のカードを切るのは難しくなりました。米国、日本、オーストラリアなどが中国をけん制できる独自のサプライチェーンを構築したほか、レアアースを回収してリサイクルする技術も続々と開発されています。むやみに武器を振り回すと、今回のように自ら墓穴を掘ることもあるのです。
崔有植(チェ・ユシク)記者