とうとう歳費全額受け取って4年任期を全うする尹美香議員【コラム】

 今年初めには親北朝鮮傾向の人物を集めて国会討論会を開き、「尹錫悦政権の反北・滅北政策が我々には障害物だ」とあいさつした。その席上では「北朝鮮は完全自主国防で、教育・医療・住居は南側(韓国)は競争、北朝鮮は無償だ。親日清算も南側は完全に失敗、北側は成功した。どちらがまともに暮らしているのか」という発言も飛び出した。その発言の主は先の総選挙で当選した民主党の金俊爀(キム・ジュンヒョク)氏の「梨花女子大生米軍性上納」発言を擁護するため、「梨花女子大政治外交学科に通っていた人(1935年生まれ)が1948年ごろ、楽浪クラブで(梨花女子大の初代総長)金活蘭(キム・ファルラン)に捕まった」と荒唐無稽な主張を展開した女性活動家だ。そんな傾向の左派団体と人物を国会に集め、任期終盤まで活発に活動してきた。3月には「戦争を呼ぶ韓米合同軍事演習を直ちに中断せよ」という社会団体の合同記者会見、「旧時代の政治、色・理念、従北攻勢中断! 国家保安法廃止」を主張する記者会見、「敵対と色分け論を超え、主権と平和の第22代国会を要求」する記者会見を相次いで開いた。

 実際尹美香議員を巡る論争は複雑でもない問題だ。国内外で珍しくない市民団体の不透明な運営、教条主義に陥り聖域化した活動に対する問題提起だった。過ちを正し、組織と目標を立て直せばよい。2008年に死去した沈美子(シム・ミジャ)さんが生前に挺対協活動に問題提起を行ったことがあるが、あまり注目されなかった。尹氏が国会議員になろうとすると、一緒に活動してきた「身内」の李容洙さんが不正を暴露し、問題が一つ残らず露見したのだ。

 本人と組織運用の問題点が明らかになったわけだが、本を出して「過去の歴史の真実究明を追求する運動を抑圧する矢じりに私をはめ込んで攻撃することが彼らの本当の目的だろう」と主張した。1700万ウォンの横領が有罪となった一審については、「無罪、無罪、無罪で終わった魔女狩り」だと言い、量刑が増した二審判決については「たとえ有罪宣告でも、私は自ら依然として無罪だと考える」と述べた。

 改めて「尹美香問題」を振り返ったのは、国会任期満了を控えたタイミングで、日本のあるニュースに接したからだった。日本の中学校の校長はコンビニでレギュラーサイズのカップにラージサイズのコーヒーを注ぎ、1回当たり70円、計7回で490円の利益を得たことで、30年間勤めてきた教職を追放され、退職金も受け取れなくなった。警察は不起訴としたが、教育委員会は最も重い懲戒免職とした。法的判断よりも厳格な個人倫理、職業倫理が働く社会であることを示している。

 韓国はどうだろうか。そんな日本から謝罪を受け、歴史の正義を確立しようという市民団体の出身者が、自分の不正や過ちには寛大な恥知らずさに加え、問題が明らかになると、マスコミと検察による魔女狩りだと主張する。最低限の法的な正義さえ遅れ、4年間の国会議員任期に受け取った歳費を回収する仕組みもない。第22代国会でもこうした行動をどれだけ目にしなければならないのだろうか。

姜京希(カン・ギョンヒ)記者

【写真】懲役5年求刑に尹美香議員が嗚咽「個人的利益得ていない」

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