こういう状況をちょっと想像してみよう。この人物の行為は道徳的に正しいだろうか。
「ある人が押し入れを整理している途中、自分が昔使っていた太極旗(韓国国旗)を発見した。太極旗はもう必要なかったので、彼はそれを数枚に切ってトイレを掃除する雑巾として使った」
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とても不快に感じるだろうか。そんな方にはさらに尋ねるとよい。
「その行為は誰にも被害を与えないのに、なぜ誤った行動なのか」
「……」
(しばらく間があって)
「そうだが、太極旗を雑巾として使うなんてとんでもない」
そう答えるしかなかったならば、その人物は保守主義者である蓋然性がかなり高い。
道徳の基盤について研究してきた社会心理学者ジョナサン・ハイトによると、人間は道徳的判断を下す際、自分の「直観」を先に作動させ、理由を明らかにしなければならない時に初めて考え始める。すなわち、直観的に不快、軽蔑、怒り、気持ち悪さなどの感情が先に起き、次にそうした感情を合理化するための「推論」が作動する。道徳的判断においては、誰でも直観が優先されるということだ。
それならば、先の太極旗雑巾の話で道徳的不快感や怒りを特に感じない直観の所有者は、一体どんなタイプの人物なのだろうか。保守・革新間の道徳的直観の違いに関するこうした疑問こそ、総選挙の結果と最近の政治的分裂に対する深層的アプローチになり得る。
ハイトが全世界の13万人以上にアンケートを実施して提示した道徳基盤理論によれば、全ての文化圏に普遍的に適用される道徳として、6つの基準が存在する。それは被害、公正性、忠誠心、権威、高貴さ、そして自由だ。彼は道徳性がこの6つの基盤(直観)上に形成されるとみて、それぞれの基準がどんな内容を含むのかを説明する。例えば「たとえ家族が過ちを犯したとしても家族に忠実でなければならない」というのは忠誠心の基盤、「軍人ならば上官の命令に同意できなくても、義務的に服従しなければならない」というのは権威の基盤、「被害を与えなくても、嫌われる行為はしてはならない」というのは高貴さの基盤に属する。6つの基盤は誰にも存在する。