愛したら有罪? 心理学で分析した韓国アイドル恋愛の法則

 これは、アイドル産業だけでなく、大衆文化の根底に流れる感情でもある。世界3大学術誌の一つ「ネイチャー」は、「女王エリザベス2世が死去した際に英国だけでなく世界の人々が悲しい感情を抱いたのも疑似的社会関係」と分析した。女王に会ったこともなく、女王が自分のことを知っているわけでもないのに、世界の人々は自分が良く知る人や自分が愛した人を失ったかのように悲しみに暮れるという意味だ。もちろん疑似的社会関係は、一度でも会ったことがあり、接触がある場合によりいっそう増幅される。政治家たちが選挙の時期に有権者に一人でも多く会って握手するのは、疑似的社会関係の感情を刺激したいからなのだ。

■ジェニーと大谷の場合はなぜ違うのか

 ところが、今回の「aespa」カリナの熱愛の波紋は疑似恋愛という感情の面だけで考えるのは困難だ。今月5日にソウル市内のSMエンターテインメントの前で行われたトラックデモには、次のような文言が登場した。

 「応援していたカリナの輝く未来、同じ夢を見ていると信じていたのはファンの勘違い」

 アイドル産業を動かす二つ目の感情は、「代理満足」、心理学用語で言うと「チーム同一性」だ。チーム同一性とは、プロスポーツ産業を動かす基本的な感情だ。好きなプロ野球チームや選手に特別な意味を付与し、愛着を持って成功と失敗を共に経験しようという心理的状態を指す。自分と直接関係がなくても、好きなスポーツチームを応援し、ユニホームを購入し、オールスター戦に投票するのは、全てチーム同一性に伴う行為だ。

 最近のアイドル産業には、プロスポーツ産業と似た側面が見られる。アルバムをたくさん購入し、初動(CD発売日から1週間の販売枚数)の数字を上げ、ストリーミングを通じて音源の順位をアップさせる。ホームページ・マスターとなって写真や動画を撮影して配布し、ファンを増やす。オーディション番組を通じて結成されたアイドルグループの場合、より強く作用する。「私が育てたアイドル」というわけだ。

 最近この競争は世界市場へと拡大した。ビルボードのチャートで何位なのか、海外公演を何カ国で実施したのか、観客は何人入ったのかなども、ファンたちの自負心に影響する。そう考えると、相対的にBLACKPINKのジェニーとBTS(防弾少年団)のVの熱愛(説)は波紋が小さかった。欧米圏でスーパースター同士の熱愛は、自身の価値を高める要素として作用するからだ。

 若く血気に満ちた青春の中にいる男女が恋愛をしないわけがない。アイドルと恋愛、どう対処すべきなのか。まず「恋愛や結婚、家庭のことを表に出すな」ということだ。模範的なケースとして「東方神起」のチャンミンが挙げられる。チャンミンは2020年に一般女性と結婚し、第一子となる息子も生まれたが、写真すら公開しなかった。これは、日本の野球選手、大谷翔平の先日の結婚発表とも似ている。誰もが知っているが見て見ぬふりをしておくから、あえてファンを刺激するなということだ。

 しかし、これら全てのことを超越する0番目の原則がある。「バレないようにせよ」ということだ。2022年に日本のアイドルグループAKB48の岡田奈々に交際報道が飛び出したとき、日本のお笑いコンビ、トレンディエンジェルのたかしがこう言った。「アイドル産業はお金を払って夢を買うもの。僕は人の女にお金を払いたくない」

イ・ヘウン記者

【写真】ヌードトーンのドレス姿でオーラを放つaespaカリナ

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  • ▲今年2月にイタリア・ミラノで行われたプラダのファッションショーで並んで座るaespaのカリナ(写真右)と俳優のイ・ジェウク。二人はこのイベントで出会って恋に落ちたという。/NEWSIS

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