韓国研修医スト1週間、医療現場の疲労ピークで今週にも深刻な危機到来…「心停止患者も受け入れられない」

 ペさん(80)は同日、血液のがんを患ってソウル聖母病院に入院している弟の面会に来た。 ペさんは「弟は重病だ。ストライキ中に退院しろと言われるのではないか、重篤な時に医師がいなくて治療をきちんと受けられなくなるのではないか、と思うととても心配だ」と語った。こうした状況は地方でも同じだ。大田市内の80代女性は意識を失い、心停止状態に陥ったが、近隣の7病院の救急室から「医師がいないので受け入れられない」と搬送を拒否された。あちこちに連絡した結果、ある大学病院の救急室で治療を受けることができたという。

 病院に残った教授や後期研修医、看護師たちの疲労も募っている。この日、救急室からしばし出てきた医師や看護師たちは壁にもたれて大きく息をつき、再び救急室に駆け込んだりもした。この日、本紙記者が会った医師・看護師たちは「残っている医療従事者たちは全員が過労で疲弊している。ストライキが終わっても、先送りされた手術が一度に集中しかねない」と話した。ある患者の家族は「退職した初期研修医の代わりに、娘くらいの年齢の看護師たちが走り回り、あらゆることをしているのを見ていると胸が痛む」と言った。本紙記者に会った救急隊員は「最近は、(患者の)家族が病院の状況を先に調べている。大学病院には空き病床がないので、中規模病院や医院に行くと言う傾向が強い」と語った。

 全北大学病院の関係者は「初期研修医の離脱で、教授たちの疲労が募っているため、手術・入院患者の受け入れを減らしている。来月1日から病院に勤務する予定だった初期研修医57人のうち、大多数が任用放棄書を提出したため、医師不足はさらに深刻になりそうだ」と話す。このほか、釜山大学病院・忠南大学病院・全南大学病院など、重症患者を担う地域拠点病院に合格した初期研修医(インターン)たちも半数以上が「契約放棄」の意向を明らかにしたとのことだ。新規初期研修医の補充まで道が閉ざされたことから、現場の医療従事者の疲労度は急激に増す一方だ。2月28日と3月1日は初期研修医だけでなく後期研修医の契約も更新されるが、病院を守ってきた後期研修医たちも医療現場を離れる意向を表明しており、「医療危機」が雪だるま式に膨らむ可能性もある。

チョ・ベッコン記者、チェ・ナグォン記者、カン・ウソク記者

【グラフィック】これも本来は医師の業務…看護師たちが代替している医療行為

前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲25日、ソウル市竜山区の大韓医師協会で、全国医師代表者拡大会議を終えて出てきた出席者たち。韓国政府の医大・医学部定員増員政策の中止を要求し、韓国大統領室に向かって街頭行進をした。

right

あわせて読みたい