すきだらけの守備は結局、失点につながった。後半8分、不安な面を露呈していた朴鎔宇(パク・ヨンウ、30)=アル・アインFC=がDF陣に送ったボールをアルタマリが奪い、すぐに走り出して、空いたスペースにボールを出した。そして、追いかけてきたアル・ナイマトが飛び出した趙賢祐の上にボールを高く浮かせてシュートし、得点した。ヨルダンを応援する観客であふれたスタジアムには歓声が鳴り響いた。朴鎔宇を外し、曺圭成(チョ・ギュソン、26)=FCミッティラン=を投入して攻撃手の数を増やしてみたが、あまり効果は見られなかった。
一度奪われた勢いを取り戻すのは難しかった。後半21分、アルタマリはセンターラインの右側からボールをキープして走り込み、韓国のDFはその前にバタバタと崩れた。アルタマリは左足で巻くシュートを放ち、追加ゴールを決めた。クリンスマン監督は黄喜燦(ファン・ヒチャン、27)=ウルバーハンプトン=、李在成(イ・ジェソン、31)=1.FSVマインツ05=を外し、梁鉉俊(ヤン・ヒョンジュン、21)=セルティックFC=、鄭優営(チョン・ウヨン、24)=シュトゥットガルト=を投入したが、無駄だった。
この日の韓国は戦術がないのも同然だった。きっちり一文字のラインをキープしなければならないDFラインは粗く、攻撃も有機的なパスがつながらなかった。李康仁(イ・ガンイン、22)=パリ・サンジェルマンFC=が試合中盤までピッチのあちこちを走り回ったが、収穫はなかった。最前方に位置する孫興民はパスがなく、試合中に孤立し、シュート1本試みるのも難しかった。
「アジアの盟主」を自任した韓国だが、1960年以降、アジアカップでの優勝がない。韓国は孫興民、李康仁、金ミン哉ら活躍目覚ましいメンバーを擁して64年ぶりのアジアカップ優勝を狙っていた。
韓国は国際サッカー連盟(FIFA)ランキング23位で、ヨルダン(同87位)より上だった。しかし、こうした客観的なランキングはこの日、ただの数字に過ぎなかった。試合終了のホイッスルが鳴ると、ベンチにいたヨルダンの選手たちはヨルダン国旗を振りながら走り出した。スタジアムを埋め尽くしたヨルダンの観客たちは足を踏み鳴らしながら大歓声を上げた。ヨルダンの選手たちは肩に国旗をかけて喜びを満喫した。
アルラヤン(カタール)=イ・ヨンビン記者