試合終了のホイッスルが鳴ると、韓国代表チームのキャプテン・孫興民(ソン・フンミン、31)=トッテナム・ホットスパー=の両足はその場から動かなくなった。ユルゲン・クリンスマン韓国代表監督(59)=ドイツ=をはじめ、多くの選手たちが慰め合い、ハグをしたが、ソン・フンミンは両足を離さなかった。やっと放送局のインタビューに応じるため足を動かしたのは10分ほどたった時のことだった。両目には涙がにじんでいた。目を赤くして、しばらくの間、言葉を選んでいたが、「何と言えばいいか分からない。申し訳ない」と頭を下げた。
三度目の奇跡はなかった。韓国代表チームは7日、カタール・アルラヤンのアフメド・ビン・アリ・スタジアムで行われたアジア・サッカー連盟(AFC)アジアカップ・カタール大会準決勝戦で、ヨルダンに0-2で敗れた。試合に勝つのは容易でないと予想されていた。ヨルダンはグループステージ第2戦で2-2と引き分けた相手だ。韓国は16強、準々決勝と連続して後半アディショナルタイムに同点ゴールを決めて延長戦までもつれ込み、体力が底を突いた状態だった。
しかし、予想よりももっと一方的な試合だった。試合中のボール支配率は69.6対30.4(%)と韓国が上回ったが、シュートを試みた本数は8対17と下回った。枠内シュートは0対7だった。ペナルティーボックスの中で許したシュート本数だけで9本。これは、ボールを持っている間に効率が落ちたという意味だ。警告累積で出場停止となった金ミン哉(キム・ミンジェ、27)=FCバイエルン・ミュンヘン=の不在が大きく感じられた。
試合開始のホイッスルが鳴るやいなや、激しい攻撃が展開された。覚悟を決めたかのように前方にプレッシャーをかけながら波状攻撃を繰り広げるヨルダンに韓国は苦戦した。先頭に立ったヨルダン唯一の欧州組ムサ・アルタマリ(26)=モンペリエ=と、韓国とのグループステージ第2戦で得点したヤザン・アル・ナイマト(24)=アル・アハリ=が韓国を悩ませた。GK趙賢祐(チョ・ヒョヌ、32)=蔚山現代FC=は前半戦で終始、四方八方に飛び、相手のシュートを阻止した。アル・ナイマトと1対1となった場面ではシュートが顔に当たり、起き上がれなくなる一幕もあった。