ソウル市竜山区のある地区隊(交番)に勤務する警察官は1月初め、管轄地域の高級住商複合マンションでパトロール中にマンション警備員から「何人もの警察官が制服を着て歩いていると住民は不安に感じる。1人か2人で歩いてほしい」と言われ驚いたという。この警察官は「警察官が出動する場合の人数は状況によって変わり、われわれが勝手に決められない。警備員の言葉を聞いて非常に戸惑った」と語る。
地区隊や派出所で勤務する現場の警察官が市民から「違和感、不安感」を理由に抗議を受けるケースが増えている。制服警察官がある集会現場周辺でトイレ使用を禁止され、別の建物でトイレを探すケースも多いという。警察のある関係者は「最近は制服警察への尊重が以前ほどではないようだ。勤務中は制服の着用が原則だが、制服を着るとぞんざいに扱われるのでモチベーションが下がることが多い」と述べた。
制服を着用した警察官が高級マンションや団地で立ち入り禁止となるケースもある。ソウル市陽川区のある地区隊に勤務する警察官によると、管轄の高級マンション団地は基本的に警察官は立ち入り禁止で、民間の警備会社の担当者が来て入り口を開けなければ入れないそうだ。この警察官は「警備会社の警備員たちもわれわれを尊重していない」と語る。ソウル市内のある派出所に勤務する別の警察官も「高級住宅やマンション団地に入るには警備会社に開けてもらう必要がある。その場合も『どこに行くのか』などと細かく質問され、文字通り検問を受けるケースが多い」と話してくれた。一方で住民からは「制服を着た警察官がうろついていると、マンションのイメージが悪くなる」などの声が聞かれる。