韓国の会社員に聞く「自力で最も解決困難な社内問題は?」

中央労働委、職場内での苦情調査

 しかし、職場内の「いじめ」は一切解決されていないことが明らかになった。今回の中央労働委員会による調査で「勤務する職場には苦情を訴えられる制度があるか」という質問に、会社員の44.3%が「ない、もしくはよく分からない」と答えた。あると答えた回答のうち19.1%だけが「内部制度を通じてよく機能している」と評価した。事実上、会社員の10人に9人が職場内の苦情を会社内で解決するのは困難だと回答したわけだ。

【グラフ】「職場内で解決できない最も大きな悩みは?」

 職場内の「いじめ」がなくならないのは、いじめの被害者がむしろ「いじめ」られたり業務から排除されたりするためだ。そのため、被害を告発できないケースが多い。最近ある大手企業の系列会社でもセクハラ被害が発生した。加害者はチーム長で、被害者はチーム員のEさんだった。ところが、他のチーム員が被害者を助けるどころか、むしろチーム長のために嘆願書を提出するといった驚くべき事実が発覚した。さらにはチーム内でおやつを配る際もEさんには回ってこなかったり、Eさんが送信したメッセージを読んでも返事をもらえなかったりといったことが起こるようになったという。Eさんはもちろん会食の場に呼んでもらえなかったという。

 「職場パワハラ119」によると、職場の上司にいじめられたと告発したことで、これを知った上司から「今後会食には出てくるな」と言われるなどのケースも見受けられた。上司は会食の日程も知らせなかった。「職場パワハラ119」がセクハラ情報とされる205件について分析した結果、職場内でのセクハラ被害者が職場でいじめられているケースは79%に上った。

 職場内での苦情が増え、多様化された原因について、「勤労者の権利意識が高まったため」とする見方もある。今回のアンケートに参加した労働委員会委員や調査官などの専門家560人のうち45.7%が「勤労者の権利意識の向上」を理由に挙げた。続いて「仕事に対する価値観の変化」(37.5%)、「苦情関連の法制度の導入」(10.4%)などの順となった。中央労働委員会は報告書で「最近MZ世代(1980年から2010年ごろまでに生まれた世代)が就職したことにより、仕事と生活を分離しようとする傾向が反映されたもの」とする見方を示した。

 職場内で苦情処理制度が効率よく運営されるために必要なものとしては、「公正な処理過程」(30.8%)という回答が最も多かった。次いで「苦情申告に対する否定的な認識の改善」(25.2%)、「苦情処理の担当者の専門性」(21.2%)の順となった。

 仁川地方労働委員会のチョ・ヨンシク調査官は「職場内での被害を減らすためには、上級者は行動する前に相手がどこまで受け入れられるかを先に把握しなければならない。下級者は自分が許容できるラインがどこまでなのかについてシグナルを送り続けることで相手が理解できるよう、自分にとっての不都合を表現していくべきだ」と説明した。

チョ・ユミ記者

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