これまで裁判所は高裁部長判事への昇進制で判事のやる気を刺激してきた。能力がある誠実な判事を次官級の高裁部長判事に昇進させる制度だった。しかし、司法官僚化をあおるという指摘があり、金命洙前大法院長の際に廃止された。長所と短所が明確な制度なので、復活は容易ではない。だからといって方法がないわけではない。しっかりと判事を評価し、再任、異動などの人事で利益と不利益を与えればよい。
裁判所組織法にも判事評定を実施し、その結果を人事管理に反映するという定めがある。しかし、金命洙前大法院長は裁判所長を判事による投票で選ぶ裁判所長候補推薦制を実施し、評定権者である裁判所長は判事の顔色をうかがって評定をまともに行わなかった。そのため、ワークライフバランスにだけ関心を持つ判事が増え、使命感を持って働く判事は「問題裁判官を選り分けることができない状況に脱力感を感じる」と言った。その上、ウリ法研究会、国際人権法研究会の出身者など特定の判事だけを重用する「コネ人事」で一線判事はさらに気力をそがれた。裁判所長が評定をきちんと行わないことは法律を守っていないことになる。今からでも法律に従うべきだ。
判事たちも「3件ルール」を廃止すべきだ。これは暗黙のルールに過ぎず、判事たちが自らなくすと言えばそれまでだ。迅速かつ公正な裁判は憲法が規定した判事の責務なのに、こんなルールがあるということ自体おかしい。判事は単なる職業人ではない。国家を支える司法の中枢だ。判事にはそんな使命感を回復してもらいたい。
崔源奎(チェ・ウォンギュ)論説委員