妊婦は主に中絶情報アプリ、インターネット広告を見て電話をかける。院長と相談後、すぐ手術日が決まる方式だ。妊婦は中絶薬を2回服用し、産婦人科近くのモーテルに宿泊後、翌日中絶薬をもう一度服用後、手術に入る。関係者は「手術室には院長と10年以上一緒に働いてきた看護師だけが入ることができる」と話した。胎児は廃棄物業者が現金8万ウォンで黒いゴミ袋に入れて回収していく。関係者は「妊娠36週の中絶手術もしたことがある」と証言した。
しかし、A産婦人科は「30週以上の中絶手術をしているのか」という本紙の質問に対し、「24週間以下に限って手術している」と事実関係を否定した。
妊娠末期の中絶手術は他の一部産婦人科でも行われているという。医療業界関係者は「A産婦人科だけでなく、私が知っているだけで、30週以上の中絶手術を行っているのは5カ所だ」と話した。また別の関係者は「妊娠末期の中絶はカネになるため、より多くの病院が参入している」と指摘した。本紙の記者が確認したところ、中絶情報アプリに掲載された産婦人科の多くが30週間以上中絶手術が可能だと答えた。
大韓産婦人科医師会の関係者は「30週以上の中絶手術は倫理的に問題になるだけでなく、妊婦の生命も危険にさらす可能性がある」と話した。A産婦人科では30週以上の中絶手術で大量出血があり、近くの大規模病院に妊婦が緊急搬送されたケースもあった。
韓国国会が法整備を先送りしている間に中絶は増え続けている。韓国保健社会研究院が2021年に実施した実態調査によると、中絶件数は19年の2万6985件から20年には3万2063件に増加した。医療界からは「中絶が合法か違法か判断できない今のような状態が長期化すれば、乳児殺人同然の中絶手術がさらに増える」との懸念が示された。
妊婦の生命を守るための中絶は、ほとんどの国で認められている。しかし未婚、未成年妊娠、出産環境など社会・経済的要因による中絶を法律で認める範囲は国によって異なる。ドイツ、イタリアなど多くの国は妊娠12週まで中絶を認めている。日本では母体保護法で妊娠22週以降の中絶手術が禁止されている。
朱亨植(チュ・ヒョンシク)記者