第三に、金正恩を呼称する際は「国務委員長」よりも「党総書記」または肩書なしの「金正恩」と呼ぶ方が韓国憲法の精神と国民感情により合っている。韓国憲法第3条は「大韓民国の領土は韓半島とその付属島しょとする」と定めている。従って、北朝鮮は国家ではない。南北関係の特殊性を考慮して、北朝鮮を国家に準じて礼遇しているに過ぎない。従って金正恩を呼称する際は、国の最高指導者を象徴する国務委員長ではなく、党の首領という意味で「党総書記」と呼ぶのがふさわしい。
金正恩の核の脅しは度を越している。韓国社会の対立は、時間がたつほど多様かつ深刻になっている。これまでになく、正確な情勢観と現実認識が重要な時期だ。こうした状況下で私たちが大韓民国を金正恩の統一戦線戦術の策略から保護し、より良い自由統一韓国を主導的に建設していくためには、安全保障用語についての正しい理解と正確な使用が重要だ。
今やまさに、ネーミング(naming)の時代だ。韓国国民の安全保障意識を高めて一つに結集させていく上で、一種の「ブランド・アイデンティティー効果(brand identity effect)」、すなわち消費者の態度を好意的に変えて購買を増進させる、密度ある努力が加味されねばならない。「すべからく、人は名前をうまく付けなければならない」という亡父の言葉が思い出される。
クァク・ギルソプ「ワン・コリア・センター」代表・国民大学兼任教授