K氏はマスコミ幹部を通じ、別の大庄洞事業の中心人物とも接触を試みた。その人物も「捜査もみ消し疑惑は事実ではない」とK氏に間接的に伝えたという。ただ、2人が直接会うことはなかったとされる。
一方、検察捜査のもう一つの分岐点は、虚偽報道を行った一部記者とK氏の「癒着」疑惑だ。K氏が大庄洞関係者から「事実ではない」という説明を聞いた後も「尹錫悦捜査もみ消し」疑惑が実際に報道されるほどのレベルにまで編集された資料を一部記者に流した疑惑だ。
まず、通信記録の解析によって、当時JTBCに所属していたニュース打破のP記者の携帯電話からK氏が作成した資料が発見されたという。P記者は22年2月、「尹錫悦検事がチョ・ウヒョン氏にコーヒーをいれた」という虚偽記事を報じた。P記者は記事に登場するチョ・ウヒョン氏に会い、事実ではないという説明を聞いたが、一方的に疑惑だけを報じた。検察はK氏の資料と問題の報道の前後関係などを解明しているという。
検察はまた、K氏がインターネットメディア「リポアクト」のH記者の虚偽報道にも関与したものとみている。H記者は昨年3月1日、「チョ・ウヒョン氏のいとこと崔在卿(チェ・ジェギョン)元検事長の録音記録を入手した」と報じた。「尹錫悦捜査もみ消し」疑惑を間接的に支える内容だった。しかし、録音記録に「崔在卿」として登場する人物は金炳旭議員事務所の補佐官であることが明らかになった。
検察は先月、H記者らに対する捜索令状の請求時に「K氏が録音記録を持っていたが、大統領選が近づくとH記者にそれを渡し、H記者らは録音記録の当事者、やりとりの趣旨を歪曲(わいきょく)して報じることを計画した」と指摘した。
これに対し、K氏は本紙の電話取材に対し、「イ・ガンギル氏らは全く知らない。通話したり会ったりした事実はない」と主張した。P記者らに資料を渡した疑惑については答えなかった。P記者も「大統領選当時、K氏とは連絡を取っていない」とし、H記者は「K氏を知らず、録音記録を受け取ってもいない」と話した。
法曹界からは「捜査が金炳旭議員ら上層部に波及する」との観測が出ている。
兪鍾軒(ユ・ジョンホン)記者