韓国の合計特殊出生率「0.7」日本「1.26」…ノーベル経済学賞受賞者が高く評価した日本の育児休業制度とは

「韓国の企業文化は、世代の変化に追い付いていない」

 今年のノーベル経済学賞受賞者に選ばれたクラウディア・ゴールディン米ハーバード大教授(77)が放った言葉だ。ゴールディン教授は9日(現地時間)、韓国の出生率(合計特殊出生率=1人の女性が生涯に産む子どもの推定数)が低い原因について質問された際、このように答えた。

【写真】「わあ、完全に失敗ですね」 韓国の出生率を聞いて頭を抱える米教授

 ゴールディン教授は、女性の社会・経済的地位が女性の経済活動などに与える影響を研究してきた。男女の賃金格差など労働市場にみられる性の不平等について論理的に証明してきたのだ。「韓国の出生率は0.86」と昨年の第1四半期(1-3月期)の出生率を正確に言い当てるほど韓国の状況にも注目している。ちなみに今年第2四半期(4-6月期)の韓国の出生率は0.70だ。ゴールディン教授は「20世紀後半に韓国ほど経済の変化が速かった国は他にほどんどない」として「韓国の労働市場はこのようなスピーディーな変化に十分に追い付けていないようだ」と指摘した。

 一方、日本については、労働参加率(生産年齢人口〈16歳以上の人口〉に占める労働力人口〈就業者+失業者〉)の割合が高く、男性が育児休業を気兼ねなく取得できるよう制度が整備されている点に言及した。ゴールディン教授は「10-15年前は日本の女性の労働参加率は低かったが、現在は米国より高い」とした上で「父親の育児休業制度は世界で最も寛容な内容になっている」と評価した。日本の昨年の合計特殊出生率は1.26だ。

■岸田首相「社会全体の認識・構造を変えていく」

 ゴールディン教授が指摘したように、日本政府は昨年の出生数が80万人台を割り込むと、男性の育児休業を積極奨励する政策を導入した。岸田文雄首相は今年3月の記者会見で「2030年代に入る前の6-7年が少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンス」として「社会全体の認識・構造を変えていく」と述べた。

 まず、日本の男性の育児休業取得率について、2025年に50%、30年には85%を達成するとの目標を掲げた。今年4月からは従業員数が1000人以上の企業に対し、男性の育児休業取得率の公開を義務付けた。対象を従業員数300人以上の企業に拡大することも検討中だ。その結果、昨年には男性の育児休業取得率が17.1%へと前年より3.1ポイント増加した。従業員1000人以上の大企業では育児休業取得率が46.2%に達する。

 育児休業中の給与も韓国に比べると高い。韓国では育児休業者への給与として、月に最高で150万ウォン(約16万5200円)が与えられる。そのため、労働者側は給与が少なくて生活が困難になるとして育児休業の取得をためらうとの指摘が出ている。日本は育児休業を取得する場合、最初の6カ月は最高で約30万5000円、その後は上限約22万円の給付金が支払われる。韓国のほぼ倍額というわけだ。

 ただし、韓国で一般的に言われる育児休業とは期間が異なる。日本経済新聞によると、日本の厚生労働省は今年の育児休業調査結果で男性の育児休業取得期間を発表しなかったと報じた。昨年の調査では、育児休業を取得した男性のうち期間が「2週未満」だった人は50%を超えた。

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