それでは韓国はどうだろうか。2023学年度の全国188大学のうち、定時募集(修学能力試験〈修能=日本の大学入学共通テストに当たる〉を通じた入学者募集)の競争率が3対1を下回る大学が計68校(35.2%)に上った。定時は群別に3回志願できるため、競争率が3対1を下回ると定員割れと見なされる。このうち86%(59校)が地方大学だった。最後のとりでとされる地方を拠点とする国立大学も揺れている。釜山大、慶北大、忠南大、全南大、全北大なども毎年2月になると新入生を追加募集するのに忙しい。地方を拠点とする国立大学の2021年度の自主退学生は全体で6366人と、5年前の16年(3930人)に比べて1.6倍となった。
人口学専門家であるソウル大学保健大学院のチョ・ヨンテ教授は「韓国が超低出生率国家となった根本的な原因はソウルと首都圏への途方もない集中」とし「途方もない集中が物理的な密度だけでなく、若年層の競争心理、不安感をも高めたことで出生率を低下させている」と説明する。チョ教授は、首都圏集中を解決しなければ、住居、教育、保育問題などの個別案件にどんなに集中してみたところで、低出生問題を解決するのは至難の業と力説する。
政府がグローカル(Global+Local)大学30事業を始めたばかりだ。30の非首都圏大学を選び出し、5年間にわたって1000億ウォン(約110億円)ずつ延べ3兆ウォン(約3300億円)を支給する大型事業だ。今年10大学を選定する予定だが、先日15大学を1次として予備指定した。考えてみると、この事業に大学構造調整、地方大学の再生だけが懸かっているわけではない。この事業が成功してこそ、首都圏集中を緩和する方向に進むことができるだろう。地方にしっかりとした大学が30校あれば、首都圏に集まる心理をある程度緩和できるのではないか。グローカル大学30事業の成否が低出生率の克服にも重要な変数として作用しそうだ。
キム・ミンチョル論説委員