法的不備が生み出した韓国「乳幼児市場」…出生届未提出の乳幼児が人気

映画よりも過酷な取引現場

 本紙記者がコンタクトを取ったある一部の女性は「お金と引き換えに子どもを渡すのは嫌だ。金銭がからんでいないなら不法ではないのではないか」と話した。しかし、養子縁組機関を通じなければ、金銭授受の有無にかかわらず、養子縁組特例法違反で刑事処罰の対象となる。お金を受け取れば、同法の「児童売買罪」が適用され、10年以下の懲役刑となる。警察庁によると、昨年は児童売買の疑いで6人が検挙されている。

 警察によると、新生児の取引は主に妊婦が退院する日に産婦人科で行われるケースが多い。韓国未婚母支援ネットワークのオ・ヨンア代表は「妊婦は通常新生児を(乳児売買)ブローカーたちに引き渡し、養子縁組を希望する人々と現場で直接取引をする」という。

 警察は、専門のブローカーが多数存在するとみている。2016年、京畿道富川市では、金を支払って子どもを受け取ったA氏(42)が懲役3年を言い渡された。「新生児売買のブローカー」だったA氏は、インターネットに書き込みを掲載したシングルマザーらに近づき、産婦人科を訪れて病院費を決済した後、子どもを連れていったことなどが明らかになった。忠清南道論山市では、20代女性がシングルマザーたちと乳児6人を取引していたことが分かっている。

 問題は、このように「取引」された乳児が遺棄・虐待や、極端な殺害などの犯罪に無防備状態でさらされるという点だ。「ベビーボックス」のヤン・スンウォン事務局長は「インターネットで赤ちゃんを取引するのは危険千万なこと」とし「赤ちゃんがどんな人に受け取られるのかも分からず、どんな恐ろしい目に遭うかもしれない」と話した。また「ブローカーを通じて不法の養子縁組をしようとしている人がいい人だと思いますか」とし「いい人の不法養子縁組は映画のような話」と付け足した。警察が把握した乳児遺棄は毎年100-180件に上る。

 一方で、京畿南部警察庁は6月23日、子ども2人を出産した直後に殺害した疑いで実母のコ容疑者(35)を拘束した。コ容疑者は子どもの遺体を家の冷蔵庫で数年にわたって保管しており、同日予定されていた拘束令状実質審査(身柄拘束前被疑者審問)は辞退している。

チョ・ベクコン記者、オ・ジュビ記者、ヤン・スンス記者、ソ・ボボム記者

【図】出生届が出されていない韓国乳幼児の現況

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