日本が米国に原爆投下の謝罪を求めたって? 韓国の一部報道をファクトチェックしてみた

専門家ら「状況を逆さまに解釈しているか、もしくは反日扇動のための悪意ある誤導」

 米国のジョー・バイデン大統領が今月19日、広島への原子爆弾投下の惨状を記録した広島平和記念資料館を訪れると、韓国国内の一部から「日本が米国に原爆の謝罪を要求している」「原爆の被害を浮き彫りにするもの」という主張が出た。

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 韓国の公共放送局MBCは「日本は、自分たちも『第2次大戦の被害者だった』という点を強調する雰囲気」「日本の右翼陣営からは、バイデン大統領は日本に謝罪すべきだという主張も出た」と報じた。その上で、「広島のある放送局」や産経新聞、「日本の大物政治家」などの見解だとしてこれを引用した。

 さらに「世界の注目が広島に集中する状況で、日本は原爆の被害者だったという点を成功裏に浮き彫りにした」「強制動員や慰安婦問題など、日本が犯した蛮行はできる限り覆い隠そうとする外交とは対照的な姿」と伝えた。

 だが、米日両国政府の公式発表文などによると、日本は今回の平和記念資料館訪問など先進7カ国(G7)首脳会議の期間中、米国側に対し78年前の原爆被害関連の謝罪要求を行っていないことが判明した。岸田文雄首相はバイデン大統領との2国間首脳会談を行いながらも、過去の原爆問題については言及しなかった。バイデン大統領も、会談のほか、別の席でも関連の発言を行わなかった。

 日本専門家の趙真九(チョ・ジング)慶南大学教授は「日本が米国に原爆の謝罪を要求する可能性は“ゼロ”に近いと見ていい」とし「日本の一部にそうした声があるかもしれないが、日本の政治や日本・米国の2国間同盟の発展史、あるいは第2次世界大戦の背景を少しでも分かっていたら、『原爆謝罪』関連の話題を無理に取り上げることはできないだろう」と語った。

 米国大統領の被爆地関連施設訪問は、今回のバイデン大統領が初めてというわけでもない。7年前の2016年5月のG7首脳会議も日本で開催されたが、当時のバラク・オバマ大統領は会議を終えた後、5月27日に、安倍晋三首相と共に米国大統領として初めて広島を訪れた。オバマ大統領も、今回のバイデン大統領のように原爆関連の謝罪については立場を表明せず、平和記念資料館を見て原爆死没者慰霊碑に献花した。当時オバマ大統領は、原爆によって日本人だけでなく韓国人や米国人捕虜も犠牲になったと言及しつつ「広島と長崎が核戦争の夜明けではなく、われわれ自身の道徳的な目覚めの始まりとして知られる未来」を語り、「核なき世界」のための勇気を強調した。演説を終えたオバマ大統領は、8歳のときに被爆した森重昭さんを抱擁し、背中をたたいていたわりもした。

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  • ▲米国のジョー・バイデン大統領と日本の岸田文雄首相、フランスのエマニュエル・マクロン大統領(写真左から)が19日、G7首脳会議の日程の一環として広島平和記念公園を訪れ、原爆犠牲者のための献花式に出席した。/写真=聯合ニュース
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