韓国の防衛産業都市・昌原に北朝鮮地下組織の中央拠点…晋州・全州でも結成

スパイ組織に対する捜査を全国に拡大
複数の工作員がソウルで会合を行った動きも

 スパイ防止当局は北朝鮮が地下組織の拠点を今回のようにソウルではなく昌原に置いた点に注目しているが、これについては「首都圏以外の地域では労働組合などへの浸透が比較的容易だったため」と分析しているという。とりわけ昌原はハンファディフェンス、LIGネクスウォン、現代ロテムなどの軍需関連企業に加え、国防科学研究所第5技術研究本部や陸軍総合整備廠(しょう)など国防や防衛関連の政府機関が集まる都市でもある。

 2021年に摘発された「自主統一忠北同志会事件」でも同じように北朝鮮は韓国の合法団体を地下組織の活動に利用していたが、今回も北朝鮮が全国各地で韓国の合法団体に浸透している実態が明らかになった。忠北同志会事件で北朝鮮と連絡を取り合っていた忠清北道清州地域の複数の労働団体関係者は2020年10月、当時国会外交統一委員長だった宋永吉(ソン・ヨンギル)元・共に民主党代表と面会し、北朝鮮への支援を要請していた。捜査当局は昌原の組織と「ヒウッ・キヨック・ヒウッ」、さらに全州支部などによる連携についても調べており、警察の関係者も全ての可能性を念頭に捜査を行っていることを明らかにしている。スパイ防止当局はソウルでも北朝鮮地下組織の存在を疑っている。地下組織の構成員らがソウルで会合を持った痕跡が見つかっているからだ。

 これに対して自主統一民衆前衛や「ヒウッ・キヨック・ヒウッ」などは「韓国政府は自分たちの失政を隠すため公安事件と決め付けて攻撃している」として反発を強めている。自主統一民衆前衛はメディアとのインタビューで「2018年の昌原世界射撃選手権に出場した北朝鮮選手団を応援し、開城工業団地の再稼働を求める集会や親日積弊清算集会など市民団体として独自の活動をしてきただけだ」「北朝鮮の指令を受けたとか、背後で指示を受けた事実などない」と主張した。これに対して捜査当局は「彼らが第三国で北朝鮮の工作組織と接触し、ネットを通じて北朝鮮からの指示を継続して受けてきた具体的な動きを捕捉している」「この点を裁判所も認めたので家宅捜索令状が出された」と反論している。

盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者

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  • ▲昨年12月に国家情報院が家宅捜索を行った済州道にある進歩政党支部委員長の自宅。/NEWSIS

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