「世界一の長寿村」の看板を下ろした沖縄

 このように暮らして来た沖縄は、米軍の長期駐留と西欧式食文化の影響などで、伝統的な生活様式が様変わりした。マクドナルドやKFCといったファストフード店が急速に増えた。2017年の人口10万人当たりの日本国内のファストフード店舗数は、沖縄県が東京都に次いで2位を占めた。「スパム」のようなランチョンミートの摂取も増えた。自動車の普及が増え、運動不足が続いた。すると、2011年の男性肥満率が42.1%に上り、日本国内で最高となった。女性肥満率も34.7%と、全国平均の1.7倍にまで跳ね上がった。これが糖尿病の拡散を招いた。野菜や海藻類、精米し過ぎないコメを食べていた1970年代の沖縄人の糖尿病による死亡率は日本全国で47位だったが、今では日本平均を上回っている。核家族化が急速に進み、模合と生きがいも徐々に姿を消している。

 食生活の変化は、若い世代により急速に迫っている。沖縄県人の80代の期待余命は依然として日本最高水準だが、50代、60代、70代は底辺にまで落ち込んでいる。沖縄全体の平均寿命を引き下げている要因だ。沖縄特有の集団的スローライフは、ファストフード、高脂肪、高糖質などの食事が浸透したことで、崩壊の一途をたどっている。

 盆唐ソウル大学病院精密医学センターのソ・ジョンソン碩座(せきざ)教授(寄付金によって研究活動を行えるよう大学の指定を受けた教授)は「アジア人は数十万年にわたって穀類や野菜、食物繊維を中心とした食事を行い、エネルギー代謝に関する遺伝子がこれに伴って発達してきたが、動物性脂肪の多い西洋式の食事を突然行うようになったことで、肥満が増え、動脈硬化が増加せざるを得なくなった」と説明する。長寿医学者のパク・サンチョル全南大学碩座教授は「沖縄県の医師たちに会うと『健康だった数多くの100歳以上の老人が、今では化石となってしまった』と話す」とし「沖縄は、食と生活習慣が悪化すると、寿命が急激に短くなる恐れがあるということを示す反面教師」と語った。

キム・チョルジュン医学専門記者

【表】沖縄の肥満率、糖尿病による死亡率など

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