【独自】サムスン電子、3Dイメージセンサーを放棄か…ギャラクシーへの未採用で事業縮小

 サムスンのシステムLSI事業部が開発した3D ToFセンサー「アイソセルビジョン」がうまく開花できなかった背景には、サムスンMX(モバイル経験)事業部がスマートフォンのギャラクシーに同センサーを採用することに否定的だったためだ。業界関係者によると「サムスンMX事業部は3D ToFセンサーがない現在のカメラシステムでも消費者が満足しているとみている」と言った。

 サムスン電子は2019年第1四半期に発売した「ギャラクシーS10」に3D ToFセンサーを初めて採用した。続いて「ギャラクシーノート10」「ギャラクシーS20」などにも搭載範囲を広げた。同センサーの採用で、関連モジュールを供給する外部企業の数も増えたという。当時3D ToFセンサーは主にソニーから納品されていた。サムスンシステムLSI事業部はそれを内製化するために「アイソセルビジョン」ブランドを創設し、製品を発売した。

 サムスンMX事業部は20年秋ごろに発売した「ギャラクシーノート20」からカメラへの3D ToFセンサー搭載をとりやめた。当時AR市場が思ったほど成長しなかったため、活用度が低いと判断した格好だ。しかし、ほぼ同時期にアップルがiPhone12に3D ToFセンサーを採用したため、サムスンも再搭載を検討したが、最終的に実現しなかった。ちょうどグーグルがToFがなくてもAR機能を使えるデプス(深さ)アプリケーションインターフェース(API)を開発して配布したこともセンサー不採用の背景になった。

 結果的にサムスンシステムLSI事業部が開発した3D ToFセンサーの事業は支障を来すことになった。最大顧客が採用してくれなければ、採算が取れないことが主な理由だ。積極的に事業に参入する理由がなかった。業界関係者は「ウェブサイトでの紹介が削除されたということは、製品を積極的に販売する意思がないと受け止められる。スマートフォン需要が減少しているとしても、サムスン電子は年間2億台以上のスマートフォンを販売しており、そこに採択されるかどうかが事業性の分かれ道だったのではないか」と話した。

パク・チンウ記者

【写真】業界最小2億画素、サムスン電子イメージセンサー「アイソセルHP3」

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