サムスン電子が2020年に打ち出した3D(三次元)飛行距離測定(ToF)イメージセンサー「アイソセルビジョン」が最近、製品リストから消えたことが確認された。拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、クロスリアリティー(XR)の浮上を受け、サムスン電子もそれら分野の必須の半導体である3D ToFセンサー市場に挑戦したが、最大顧客であるサムスン電子のスマートフォンブランド、ギャラクシーに採用されず、事業が大きく縮小したとみられる。
電子業界によると、サムスン電子が生産する半導体製品と事業が閲覧できる「サムスン半導体ウェブサイト」のイメージセンサーのリストから3D ToFセンサーが含まれる「ビジョンセンサー」項目が消えた。イメージセンサーのリストに残っているのは「モバイル」と「オートモーティブ(自動車関連)」だけで、それぞれ「アイソセル」と「アイソセルオート」を主力としている。韓国語サイトだけでなく、グローバル・各地域のサイトでも同様に削除された。
ただしインターネット検索サイトで「アイソセルビジョン」を検索すればヒットするページもある。公式ウェブサイトからは項目を削除したものの、個別のページを削除できなかったものと考えられる。サムスン電子側は「製品リストから削除したのは事実だが、事業は持続中だ」としながらも、現在の顧客や応用先は明らかにできないとした。業界関係者は「中国のスマートフォンなどに限定的に供給されているとみられる」と話した。
3D ToFセンサーはカメラで物体に光を当てて反射して戻ってくるまでの時間から距離を測り、それに基づき3Dデジタル映像をつくる技術だ。メタバースプラットフォームで仮想空間を実際とほぼ同じように再現するのに重要な役割を果たす。スマートフォンの生体測定やゲーム、自動運転車など、さまざまな分野でも活用が予想される。
市場の成長性は有望だ。市場調査会社ヨプデベロップメントによると、3Dセンサー市場は20年の約65億ドルから23年には80億ドルに成長する見通しだ。さらに年平均14.5%成長し、26年には150億ドル(約21兆4650億ウォン)まで市場規模が拡大すると見込まれる。同市場でモバイルの割合は46%、自動車分野は22%だという。