【コラム】「尻に火が付いた」韓国の使用済み核燃料処理問題

2031年には貯蔵スペースが飽和
脱原発を志向した文在寅政権、5年を空費
貯蔵施設の建設には6-7年かかる
原発稼働中断という事態も起きかねず

 使用済み核燃料の処理をどうするかは、突如浮上した問題ではない。だが文在寅(ムン・ジェイン)政権は任期中、この問題の解決を巡って終始腰が重く、状況をさらに深刻なものにした。朴槿恵(パク・クンへ)政権は2016年7月、使用済み核燃料管理基本計画を定めた。敷地の選定から始まり、計36年かけて処分場を建設し、2053年に稼働させることが目標だった。計画には、処分場の稼働前に発生する使用済み核燃料を一時保管しておく施設を拡充する、という内容も盛り込まれていた。計画通りであれば、文政権の任期中に処分場の敷地選定作業が進められなければならない。だが文政権は「この計画は地域住民や市民団体などの意見を十分に反映していない」として、2017年から再検討に入った。昨年12月に新たな計画の草案を発表したが、新しい内容といえば「敷地の選定期間を12年から13年に1年伸ばす」というものくらいで、後は前政権の計画と違う部分はほとんどない。処分場の稼働目標時期が6年遅くなっただけ、というわけだ。

 使用済み核燃料処理問題に微温的だった文政権の姿勢は、ただ単に、手柄にならないことを次の政権へなすり付けるというような次元のものではなかった、と専門家らは指摘する。時間を引き延ばし、使用済み核燃料施設の問題が解決されなければ原発生態系が一層早くまひすることを狙った、脱原発戦術ではないか-という話がある。まだ文政権の任期中だった今年の初め、産業通商資源部(省に相当)は「使用済み核燃料処理問題が具体的に決定されるまで原発の拡大は望ましくない」との立場を示した。昨年、与党(当時)の「共に民主党」は、使用済み核燃料処理基準を原発の設計寿命内に発生するものに限定し、事実上原発の寿命延長をさせない内容の法律も発議した。

 尹錫悦政権は「使用済み核燃料管理政策の履行」を主要な国政課題に定めた。先延ばしできない課題だ。前政権が手をこまねいて5年を空費したことで、スケジュールはタイトになった。難しい問題を後回しにする「ニムト(not in my term. 自分の任期中にはやらない)政権」はこれ以上見たくない。

金承範(キム・スンボム)記者

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